今回は「冬のパン作りのコツを知ろう!」ということで、気温と湿度で影響してくるさまざまなことを体感で判断出来るようにまとめております。
四季のある日本だからこそいつも同じ仕込みが通じないことが多い。でもその翻弄される感じがまた楽しかったりもするんです。
身体で季節を感じながら楽しんでパンを焼いてみてくださいね♪
季節で関係してくること
当たり前ではありますが、冬に入る前に秋があり、冬が終わると春が来ます。
この季節の変化で何が起こるかというと『気温と湿度の変化』。
- 温度が低い生地は発酵しづらい
- 湿度の多い季節は少し生地がベタつく
しかもこれはずっと続くのではなく、その日その日によって変わります。
冷蔵発酵のいいところは“発酵を冷蔵庫で安定して行えること“。
ただし、冬の仕込みはとにかく寒さとの戦い。
普段と変わりなく同じ時間で、同じ環境で工程を終わらせるためにはちょっとしたコツが必要になります。
冬のパン作りで心得たいこと
先にポイントをまとめておきましょう。
- 仕込み水は20−40%くらいお湯に置き換える
- こね終わった生地を常温で30分置く
- 翌日は始める前に常温に30分から1時間出しておく
では一つずつ説明していきます。
1.仕込み水は15−35%くらいお湯に置き換える
よく書籍などには「ぬるま湯で仕込む」とあります。
ただコレ、測るのめんどくさくありませんか?正直わたしは“体感でやっちゃおうぜ“タイプなのであまり好きではありません。
そこで少しでも楽に、そして体感でも仕込める方法を考えました。
それが『お湯で置き換える』という作戦。
この方法が出来るようになる季節は大体気温が20℃くらいに差し掛かってきた季節でしょうか。仕込みをしていて水が冷たいなと感じる頃から仕込み水を少し工夫するようにしています。
※あくまでわたしの体感で行き着いた方法なので、実際にやってみていただいて導入してみてくださいね(笑)
- 冷えてきたなと感じた頃:仕込み水の15%をお湯にする
- 寒いなと感じてきた季節:仕込み水の35%をお湯にする
これはあくまでスタートに用意する水が冷水の場合です。※冷蔵庫で保管している水の場合も含まれます。
そこに入れる“お湯“というのは沸騰させた“熱いお湯“のこと。
初めのうちはせっかくなので調整した水に指を突っ込んでみて体感してみてください。
ほんのりぬる〜いぬるま湯が調合されております。
200mlの水を仕込もうとしていたとすると15%なら30ml、35%なら65ml程度。
こね終わった生地を常温で30分置く
次は仕込んだ後の作業になります。動画でもよく「生地が冷たい感じがしたら常温で30分くらい置いてください」と伝えていますが、これは冷水で仕込んだ秋ごろから登場する仕込み後の作業になります。
『まだお湯を入れるほど寒くない、でも冷水で仕込んだら生地が冷たくて全然発酵しない。』そんな時の対処法。
冬は先程のお湯仕込みと常温放置のダブル体制でいきましょう。
仕込みおわっていきなり冷蔵庫に入れるより、少し暖かい常温においておくことでスムーズに発酵を進めることができます。仕込んでから生地を持ってみて“冷たい“と思ったら試してみてください。
ちなみにわたしの工房は元々物置。断熱処理などはしていますが、冬の夜は冷蔵庫状態(笑)
予報で翌日が寒い時は『工房を冷蔵庫』と思って常温で保管しています。お家でそんな寒いスペースがあれば一晩そこで保管してもいいかなと思います。(そんなお家はあまりないと思うけど…)
翌日は始める前に常温に30分から1時間出しておく
冷蔵発酵は仕込んでから6−24時間冷蔵庫で保管します。
朝仕込んで翌日朝に成型したり、夜仕込んで朝成型したり。
夏は冷蔵庫から出してすぐ成型に入っても生地の温度は十分間に合いますが、冬は冷蔵庫から出してすぐだと生地が冷たいです。
冬は出来れば成型をする30分くらい前に常温に出して生地を緩ませておきましょう。
ちなみにベーグル生地はあまり長いこと常温に出しておくとちょっと見た目がダルンとしたベーグルになってしまうので、20分くらいまで留めておくことをオススメします。
基本の生地で実践!
ではせっかくなので冬バージョンの基本の生地をおさらいしておきましょう。
成型以降は工程が同じなので成型まで解説します。
1.計量
基本でレシピで復習しながら進めていきましょう。
- 強力粉300g
- 水150ml
- お湯50ml
- 砂糖10g
- 塩5g
- オイル15ml
- イースト0.5g
ここでのポイントは“お湯“。
常温の水にお湯を入れて混ぜておくだけ。それなりの温度になります。
2.こねる
こねるときはいつも通りこねていきます。
ただし冬は基本的に生地がキュッと締まるので、こねているタイミングで硬そうな雰囲気がしたら霧吹きでじわじわと追加していってください。
生地の形が出来てから水分を加えると生地が躍ってしまうので、水分を追加するなら早めのタイミングで判断しましょう。
そしてこね終わったら常温で30分ほど待つ。
3.一次発酵
出来上がった生地は袋に入れておきます。
常温で緩めたら野菜室で保管しますが、冷蔵庫にあまり物が入っていない場合は一点集中で冷やされてしまうと硬くなるのでタオルなどで生地を巻いて冷蔵庫に入れておきましょう。
野菜室で6−24時間発酵させます。
4.成型
一次発酵が終わったら冷蔵庫から出して常温で30分ほどおきます。
これは生地を徐々に緩ませるため。
一種のベンチタイムと思ってもらって大丈夫です。
カチカチのまま成型や丸めに入るとほぼ確実に割れを起こします。
この“プレベンチタイム“、意外と侮れない工程です。
袋から出して分割、丸め、ベンチタイム、成型をして二次発酵へ。
この後はいつも通り。
成型中に生地が冷たい感じがしたら二次発酵を長めにとるなど、微調整をすると失敗が減ります。
今回のまとめ
今回は『冬のパン作りで注意すること』をまとめました。
ポイントは3つ。
- 仕込み水は20−40%くらいお湯に置き換える
- こね終わった生地を常温で30分置く
- 翌日は始める前に常温に30分から1時間出しておく
どれも必ずやらなければならない訳ではなく、必要な時に体感で感じて必要な工程を行う。
パン作りと気温は切っても切れないご縁なので、天気予報を見たり、天気を感じてみてください。
通常のパン作りに比べて冷蔵発酵のパン作りは時間はかかります。
でも工程を2回に分けられるのと、小麦の風味を楽しめるというメリットがあります。
実践してみてくださいね。