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パン工房の話

【3年ぶりの開催!】食品衛生責任者実務講習会を受講してきました

先日、3年ぶりに開催された食品衛生責任者の講習会を受講してきました。

講習会のなかった2年の間に法改正があったり、HACCPが義務化されたりいろいろと見直しがありました。

このブログを観ている方の中にはわたしと同じくパン屋として働いている方もいれば、これからちいさなパン屋を開きたいなと考えている方もいるかと思います。

年に1回の講習会の参加、と聞くと物々しい感じがしますが全然そんなことはありません。

久々の開催で内容が変わったこともあったので、簡単にまとめてみました。

「へーこんなものを受けるのねー」くらいで知っておいていただければと思います。

いつも講習会では睡魔と闘っているという方は復習がてらご覧くださいw

この記事の動画はこちらから

食品衛生責任者実務講習会とは

この講習会は年に1度、食品衛生管理についてあらためて理解しておこうとの趣旨で開催されるもの。

おぱんくん

これまでは「食品衛生責任者再講習会」として年に1度、6月7月に開催されていたよ。

今回から名称が「食品衛生責任者実務講習会」に変更。

夏期講習から定期講習に位置付けが変わりました。

他の理由としては”名称と内容がいまいち合致しない“というのがあるそうです。

たしかに「再講習会」は意味としては分かるけれど、自動車免許の再講習のイメージもあるからかなんだかモヤっとしますよね笑

実務講習会、の方が「携わる人が関係するやつね、行こう」と思えます。

おぱんくん

ネーミングって大事だねw

この講習会は誰が受けるかというと“飲食店などの許可を受けた人“が受講します。

わたしの場合、手続きは自分一人だったので自ずと自分になりますが、従業員が多いお店などはこの資格を持った人が受講することになります。

時期が近づいてくると検便の案内と共に管轄の保健所から郵便が送られてきます。

持ち物は

  • 食品衛生手帳
  • 郵送されてくる講習会の受講証

時間は1時間半ほど。文化会館などのホールで行われます。

会場についたら受付をし、講習会の資料を受け取ります。

受講後に「受講済証」を受け取り、施設に掲示すればオッケー。

わたしの自治体では6月7月を中心に年9回ほど開催され、自分で受講の場所を選んでどこかで1回参加することになります。

今回の講習会の内容はこの4点でした。

講習会の内容
  1. 食中毒についての話
  2. HACCPについての補足
  3. 営業許可制度の変更について
  4. 営業届出制度について

後ほど内容はザックリまとめるとして、これまでかなりの時間を“食中毒予防“について割いてきたものが今回は法改正で変わったことHACCPの部分が多くなっていた印象です。

ここからはわたしが受講してきた講習会の内容をまとめていきます。

自治体によって内容が違う可能性があるため、最終的にはご自身の自治体のものをご参考ください。

この2年で変更されたこと

新型コロナウイルスの影響により令和元年を最後に今年まで開催を見送られてきた講習会。

昨年は食品衛生法の改正HACCPの義務化が始まりました。

それまで何度かHACCPについては説明もされていたのですが、正直自分のやっていることは合ってるのか、そもそも何をしているのかを理解していない、という方も多かったのではないでしょうか。

わたしの場合はたまたま昨年許可の更新があったため、HACCPについて調べていたり、更新時に不明なことは保健所の方に確認が出来ました。

この2年で変わった内容はこちら。

  • 講習会の名称変更
  • HACCPが義務化された
  • 営業許可制度や届出制度の内容変更

名称は先ほど解説しました。

HACCPについては最後の項目で簡単にまとめます。

営業許可制度については次の項目で解説しますね。

コロナ関連が多めの内容かな?と思っていましたが、食品衛生の話を聞きにきているので、やはり“食中毒予防“についてかなり時間を割いていました。

ただしこれまではビデオなどでなんとなく流している内容だったものが、今年はその部分が違いました。

食中毒で中心になったのが「アニサキス」。

ニュースでもよく耳にするようになりましたが近年激増しているそう。

どうやらクジラの絶対数が増えていることがアニサキス急増の原因ではないかとのこと。

昨年の全国の食中毒の半分近くを占めています。

クジラに食べられる前の魚(サバやサンマなど)に寄生する線虫がアニサキス。

アニサキスを駆除しないままその魚を人間が食べることで症状を引き起こします。

目視で確認出来るそうですが、盲点は「お酢で死滅出来ると思っている人が多い」ということ。

しめサバ程度のお酢濃度では死滅しないそうです。

同じくワサビ、しょうゆでも死滅しない。

つまりは基本的に生で食べない方がいい。

中でもサバに多く寄生しているようです。

なかなかの激痛とのことですから、とりあえずは生は避けておいた方がよさそうですね。

飲食店はカフェからお寿司屋さんまで幅広くあります。

自分の分野とは関係なくても、食中毒を引き起こすと後の処理も信用問題にも関わるので知識としてしっかり話を聞き頭に入れておきましょう。

営業許可制度についての変更点

2021年(令和3年)に食品衛生法が改正されました。

34あった営業許可が32にまとめられHACCPの義務化がスタート。

この項目では営業許可制度営業届出制度について解説します。

食品衛生法が施行されてから約20年。

時代の変化に合わせて2021年に大きな法改正が行われました。

現在許可をとっている飲食店でも変更する点があります。

それが「手洗い場の蛇口の変更」。

手のひらを使ってひねるタイプの水栓は今後許可を取れません。

  • 肘で動かせれるようなレバー式
  • 自動水栓
  • 足踏み式

のいずれかに変更する必要があります。

これは感染予防の観点から。

手を洗う前に触れている蛇口に手洗い後に触れたら意味がありません。

衛生管理から手のひらで触れないでも操作できるものに変えてね、というもの。

わたしの工房でも昨年蛇口を変更しました。

どの厨房でも関わってくる部分、とのことですのでお忘れなく。

施設基準以外の変更点としては

  • 許可の内容が変わったもの
  • 許可の必要がなくなり、届出が必要になったもの
  • 新しく届出が必要になるもの  があります。

許可の内容が変わったもの

→喫茶店営業許可が飲食店営業許可になったなどの部分です。

パン屋として関わる部分は

  • “軽食“であればその場で食べるものも可能になった
  • 菓子系のサンドイッチであればOKになった

この辺りが該当します。

【サンド系の販売が可能に!】菓子製造業許可の範囲が広がった!2021年6月1日より食品衛生法が改正されました。これまでよりも菓子製造業許可の範囲が広がり、メニューへの影響もありそうですね。全ての事業者がすぐに適用というわけではないので注意が必要です。...

ただし自治体によってどこまで許可しているかは異なりますので、お住まいの地域の保健所で詳細については確認してください。

また営業許可が新設されたものもあります。

それが『漬物製造業』。

今まで漬物を作っていたという方も許可が必要になります。

許可を新設した理由としては

  • 食中毒案件が増えていること
  • 漬物の塩分濃度が下がっており衛生的な観点から とのこと。

自分で作って自分で食べるのであれば許可は必要ありませんが、販売する場合は今後許可が必要になります。

自宅キッチンや屋外の壁のないガレージなどは基準に満たせないので許可が取得できません。施設基準を満たした施設が必要になります。

なおこれまで食品衛生条例に基づく届出を行なっていた営業者は営業許可の取得に3年の猶予があります(2024年5月末まで)。

それまでに施設を作ってください、という感じのようです。

許可の必要がなくなり、届出が必要になったもの

→スーパーなどの精肉や魚介類が関係します。

あらかじめパック詰めされた精肉や魚介類を販売する場合、これまでは許可が必要でしたが、新しい法律では届出のみでよくなります。

同じく乳製品もパック詰めされて後から手を加えない場合も届出になります。

新しく届出が必要になるもの

→法改正により「密封包装食品製造業」の許可を要しない食品が追加されました。

これまで「はちみつ」と「食酢」は届出が必要でしたが、

  • 玄米、精米
  • コーヒー
  • 干し椎茸

などが追加されました。

※厚生労働省の資料より

項目以外の商品を密封包装する場合は「密封包装食品製造業」の許可対象となるとのこと。

追加された項目は乾燥させる系が多いですね。

この部分ですが、講習会でもグレーゾーンが多いと話されていました。

例えば自分で採取した椎茸を“干し椎茸“にして密封・販売する場合は届出でいい。

自分で採取してもジャム黒ニンニクにして密封・販売する場合は営業許可が必要。

自分で採った大根を切り干し大根にするのは届出でいいけれど、買った大根を切り干し大根にするのは違う。 とも言われていましたが、ものすごーーくグレーゾーンなので管轄の保健所に確認するのがいいかと思います。

HACCPの内容をザックリと

最後の項目は「HACCP」について。

以前記事にもしているので、詳しい内容や記録する媒体についてはこちらの記事もご参考いただき、ここではざっくりと概要をお話しします。

HACCP義務化!パン屋としてやるべきこと。2021年6月からHACCPにおける衛生管理の実施が義務化となりました。全ての飲食店が対象となり、自分のお店仕様の衛生管理が必要となります。 今回はHACCPの概要から記録する媒体までオススメのものをご紹介します。横文字にビビらず、資料を読んでいくと実は普通なこと。衛生管理を実施してお店を守っていきましょう!...

HACCPとは一言でまとめると「安全な食品を作るための手法を文書にまとめ、記録する」もの。

これまでは“ヒヤリハット“として事故になりかけたものを報告していましたが、ヒヤリハットの前に対応できることについてまとめておこう、というものです。

大まかに3つの工程に分かれます。

  1. 計画を作る
  2. 計画を実行する
  3. 実行したものを記録する

記録しておくことで製造所の普段の様子を残すことが出来ます。

管理していたよ、という証拠になるわけです。

1人で製造している場合は自分が分かっていれば大丈夫なことですが、従業員が複数いる場合は誰がみても理解できるように噛み砕いておくのがオススメです。

なるべく内容は細かく。そして分かりやすく

内容は製造所によって変わります。

テンプレなども数多く存在しているので参考にしながら計画を作っておきましょう。

書面の提出等はありませんが、許可の更新の時などに「どんな感じで作っていますか?」とは聞かれました。

わたしの場合はスマホのアプリで毎日決まった時間に入力するようにしています。

今回のまとめ

今回は3年ぶりに開催された「食品衛生責任者実務講習会」に参加したのでその内容についてをまとめました。

正直に言いますと、わたしもこれまでのこの講習会は睡魔との闘いでしたw

今回は「動画やブログ記事にすることを考えたら寝ないかな」という気持ちで参加したらしっかり集中出来ました。

人間、目的があると頑張れますw

内容は

  • 食中毒予防について
  • HACCPについて
  • 新しい許可制度について が中心でした。

食品の業界というのは「ここまでがセーフ」「ここからはアウト」と明確に線引きが出来ず、グレーゾーンがとても多い分野だそうです。

だから不安なら確認した方が早い。

とりあえず聞いてみて、それは今やれそうなことなのか、新しく何か設備や許可がないといけないものなのか。

中途半端にモヤモヤと進めるのはやめましょう、と最後に付け加えられていました。

確かにそうですよね。

実際わたしもHACCPのことやサンドイッチの部分はずっと気になっていました。

許可更新の時に思い切っていろんなことを聞いたら気持ちもスッキリ。

不安でモヤモヤする時間、すごくもったいない。

なんせ自治体によってグレーゾーンの広さも違います。

全てを鵜呑みにせず、進めるときはぜひご自分の耳で確認して前に進めていただければと思います。

まずは入り口としてわたしの情報を参考にしていただければ幸いです。