これまで菓子製造業許可やHACCP、夏の食品衛生講習会の話などをまとめてきました。
うっすら気づいている方もいらっしゃると思いますが、飲食系の許可はグレーゾーンの多い分野だそう。
少し前に食品衛生法の改正もあり、飲食店営業許可と菓子製造業許可の境目もさらにフワッとしてきています。
今回は「飲食のイベント出店でやっておくべきこと」について解説します。
今回はわたしのこれまで経験や活動する中で保健所に問い合わせた内容も含め、解説していきます。
ただし自治体によって許可の範囲や内容は異なりますので、最終的にはご自身の管轄の保健所に相談することをオススメします。
搬入時間と経路の確認
イベント出店が決まるといくつかやることがあります。
主催者から案内が届くのでしっかり内容を確認しましょう。
特に出店要項には「搬入時間」も記載されています。
ざっくり目を通すだけ、という方も割と多いんですが搬入時間を間違えて会場入りする出店者さんもいます。
イベントごとに搬入時間も搬入出来る入り口も変わります。
基本的には車で行くので駐車場の問題があったりもします。
イベントによっては搬入時間をあえて分けていることもあるよ!
要項とは別で案内がくることもあるので頭の中に入れておきましょう。
通常イベント開催の2ヶ月くらい前からはイベントのSNSなどで宣伝が始まります。
出店者側も一緒に宣伝をするとイベントにも自分のお店にも集客に貢献ができます。
開催前に今一度確認しておきたいのが「搬入経路」。
搬入方法は数パターンあります。
- 車でそのままブース横まで行ける
- 荷下ろしの場所が決まっている
- 駐車場から直接運ぶ
荷物が多いほど時間もかかるし、駐車場が遠ければ戻るまでに時間がかかります。
搬入場所が分かりづらくて迷子になることもありますw
出店する場所も事前に分かっていると思うので、どの位置に置いたら運びやすいか、なども事前に考えておきましょう。
雨予報や強風の予報があったりするとさらに段取りは大切。
先に運ぶべき荷物の優先順位を付けてから、積み込みをするのがオススメです。
積み込みについては別記事でどうぞ。
日差し対策
出店が決まり、イベントの2週間くらい前になると出店場所が決まります。
主催者さんが早めにSNSなどで告知することもあるし、出店者連絡として画像を送ってくれることもあります。
出店者が両隣にいる場合は出店スペースとしては『前1面』だけになります。
出店者が片側にだけいる場合は『2面』使えます。
周りに出店者がいなければ『3面』使えます。
パンの出店で3面使うことはあまりないかもしれませんが、例えば古道具屋さんやお花屋さんなどは3面あればタープからはみ出すくらい広げることが出来ます。
タープから飛び出しているとモリモリしていてお客さんの購買意欲も上がります。
雨だと残念なくらいキュッとしないといけませんが、その辺りのディスプレイもぜひ観察してみてください。とても勉強になります。
飲食は日差しが敵です。
出店場所によって
- 朝の日差し
- 昼の日差し
- ずっと日差し
という日差しとの戦いの時間があります。
正直どれがいいというのはなくて、どっかしらで絶対日差しは当たります。
方角を確認して、周りの建物があるかを確認してタープのどの位置に食べ物を並べるかを考えてみましょう。
食べ物には布をかけて日光が当たらないようにしておくなどなるべく直接日差しが当たらないようにしましょう。
わたしは全ての商品を並べたらいつもイベントが始まるまでは布を被すようにしていました。
この布もあまり色が濃いと熱を吸収してパンの食感に影響してくるので薄い色の布がオススメです。
原材料ラベルの準備
飲食の販売を行うときは「食品表示法にある食品表示基準」に沿った内容の表示が必要になります。
食べ物を購入すると商品ラベルや原材料の記載された印刷物が入っていますよね。アレです。
表示基準の注意事項については”夏の食品衛生講習会”などでもらう資料にも記載されています。
簡単にですが、まとめておきます。
ゴチャゴチャとまとめてしまいましたが、わたしがいつも表示しているのはこちら。
この内容をラベルプリンターで1つずつ印刷をし、袋に貼ります。
ラベルプリンターはブラザー工業のものを使用しています。
このプリンターを購入するまではパソコンで自分でテンプレを作り、家のプリンターで印刷してカットをしていました。
普通のプリンターだったからにじむにじむw
ついでに雨まで降ってしまったらにじみまくって読めたもんじゃありません。
感熱ラベルプリンターのため熱に反応させて発色するためインクが不要。
水などでにじむことがありません。
実はわたしが購入したときは35000円くらいでした。
引くほど値上がりしているのでビックリ。
予算が…ということであれば無線に対応していないタイプなら2万円台で購入できますので、検討してみてください。
個人的にはパソコンを開く必要がなく、スマホでピピピっと作業が出来る方が断然オススメです。が、ないよりは少し機能が劣ってもある方が絶対便利です。
ちなみにラベルシールは互換シールも販売しています。
正直十分機能は果たしているので、ここは経費削減を心がけましょう。
わたしは普段39mm×48mmで印刷をしています。
あと補足です。
アレルギーに関しては出店の時にお客さんに聞かれたら対応できるように1つ1つの商品について理解をしておきましょう。
わたし自身が卵アレルギーがあるのですが、お店で聞いて「分からなくて…」と言われるだけでだいぶ不安になります。
許可証の画像を撮っておく
意外と盲点になる部分ですが、許可証は画像を撮って保存しておきましょう。
時々必要になることがあります。
ネットショップを開設するときもそうですが、イベント出店の時も許可証を提出することがあります。
基本的には画像で提出になります。
もしくは画像をいつでも出せるようにしておいてくださいと言われることも。
ごく稀にですが、来場者の方で「許可を持っているか」と聞いてくる人がいたりします。
同業者なのか、魔女狩りなのか知りませんがたまーにいらっしゃるんです。
保健所の人が紛れていたりすることもw
出店者さんによってはお店のように許可証を額に入れてディスプレイとして掲げている方もいますが、そこまでしなくても大丈夫。
ただ、聞かれたら「わたしは許可を持っています」と言えるよう証拠は持っておきましょう。
店舗を持たず、工房のみで運営している場合は大っぴらに住所などを晒す必要もないので画像で大丈夫です。
最近は言われることは無くなりましたが、かつてそこまで親しくない方に「名前貸ししてもらえませんか?」と言われたことがあります。もちろんお断りしました。
名前を貸す、ということは「何かあった時の責任は自分に降りかかる」ということ。
大げさにいうと借金でいう連帯保証人みたいなものです。
工房の住所なども流出してしまうことになります。怖いですよね。
個人間での名前の貸し借りは絶対にやめましょう。
自分の身は自分で守る、これは徹底しましょう。
調理するなら別の許可が必要
以前「飲食店営業許可」と「菓子製造業許可」の違いについて解説しました。
簡単におさらいしておきましょう。
梱包されているかどうか、その場でガッツリ食べるかどうかと言う絶妙なグレーゾーンがある2つの許可。
イベント出店になるとこの許可に加えてもう2つ存在します。
なんだと思いますか?
そう。カフェカーと屋台です。
それぞれの概要をまとめておきます。
こちらも管轄の保健所により内容は変わりますので、最終的にはご自身の自治体のものをご確認ください。
例えばコーヒー、ご飯ものなどの自動車で販売する場合です。
自動車の中での製造・販売になるので屋台とは許可が異なります。
ただし、図面を見てみると菓子製造業許可に近い配置。
シンクは手洗いを含めて3つ、冷蔵設備や調理台などが必要になります。
車が完成してから「これ違ってますよ」と言われたら大変なので事前に図面を持って保健所に相談に行きましょう。
許可は最短で翌日に出るそうです。
ドリンクはドリンクでも、ビンやカンなど密閉されたドリンクであれば許可は不要です。
レモネードとかコーヒーとかをタープの中で用意して販売する場合に必要になります。
これまた絶妙なグレーゾーンらしく、車屋さんなどでよくあるセルフサービスのドリンクは許可が不要。
スタッフさんが入れて提供したら微妙、なんて話を聞いたことがあります。
最近セルフサービスが増えたのはコロナ禍ということもありますが、実は許可の部分のビミョーなのでその対策もあるのかな〜なんて。
ドリンクの氷は氷雪製造業の許可のある施設で製造されたものを使用する、など衛生面を考えてくださいねということも記載されていました。
自家製シロップは難しいラインですね。
特に発酵させたりしていると衛生面もなんとも言えません。
検討されている場合は保健所に確認してみましょう。
以上がカフェカーと屋台の許可についてでした。
こういう部分を知っておくとイベント出店をするときも、イベントに遊びに行った時もまた違う目線で観察することが出来ます。
そして自分が販売したいものにはどの許可が必要なのかを理解しておくことで聞かれても背筋を伸ばして対応できますw
クリアにできることはしておきましょう。
今回のまとめ
今回は「飲食のイベント出店でやっておくべきこと」について解説しました。
最後に内容をまとめておきます。
やるからにはしっかり準備して、理解して出店する。
何か聞かれた時にオドオドすると単純に怪しまれますw
準備していれば別に慌てる必要はないので、今回の内容がちょっとでも参考になればいいなと思います。