これまで数回にわたって「パン屋開業」のお話をしてきました。
とはいえ、今すぐに工房を作れる環境が整っている方は少ないでしょう。
というわけで今回は「今からでも出来ること」と題して、パン工房に向けて積み上げて損はないことを解説していきます。
「いつか絶対パン工房をつくる!」という夢、応援します。
そのために今出来ることを行動に移していってください。
屋号を付けて広めていく
屋号については1つ前の記事でお話しました。
開業届を出してなくても”屋号”は付けることが出来ます。
例えば”ユニクロ”なら服を売っているお店。
”無印良品”ならシンプルなモノを売っているお店。
”ぱんのおみみ”なら…「パン屋運営についてしゃべっている麻雀好きのパン屋さん」みたいなw
つまりはイメージ付け。
「この名前、聞いたことある!」って結構大切で、無名の状態でイベントに出店するより遥かに気持ちも楽なんです。
わたしは普段使っている屋号で
- ベビーマッサージ教室
- アロマクラフト教室
- パン教室
- パン屋
をこれまで経験してきました。
なので「あ、この名前知ってる!」とよく言われました。
そんなことを目の前で言われた時は「ご存じでしたか?」と会話のスタートが切れるというわけ。
それってちょっとしたアドバンテージだよね!
パン屋さんを開いて、パン販売するのが目標だとして。
今はどうしても叶わないのであれば、名付けた屋号でパン教室をしてみてもいいかもしれません。
パン教室に通いたい人はパン好き。
確かにパン教室は自分の手の内をさらけ出しますが、モノ作りって不思議なもので全く同じものは焼けません。
同じ日に、同じ場所で、同じ手順で焼いてもその生地を触った人によって焼き上がりが変わる。
スピっているわけではありませんが、俗にいう”氣”みたいなものがあるのでしょうか。
教室で顔馴染みになっておけば「何月何日にイベント出店します。ぜひ!」と宣伝することも出来ますよね。
わたしも初期に声かけをしていました。
せっかく屋号をつけるならSNSにも挑戦しましょう。
「〇〇しちゃってくださいね!」などの呼びかけ、最初は本当に恥ずかしいです。
でも大丈夫。じきに慣れますw
SNSはInstagramがオススメ。
Xも拡散力はあるのですが、パンは食べ物。
見た目を手取り早く、しかもアカウントを見れば画像でバババーっと並んでいるのはInstagram。
プライベートと混ぜて発信するならストーリーズを活用した方が気楽。
わたしはパン屋はのんびり今くらいのペースがいいので、最近はストーリーズでかなりプライベートなことしゃべってますw
といってもぱんのおみみアカウントは完全に分けております。
もし余力があればそうやって使い分けてみるといいでしょう。
原価計算を意識して焼いてみる
工房がなくても出来ること。
次は『原価計算』を意識してみます。
「パン屋になるための5ステップ」という記事でパン屋さん体験をしてみようとお話しました。
パン屋さんはパンを10個焼いただけでは開けません。
どうでしょうか、少なくとも販売するときは100個近くを一気に焼くことは必要になります。
イベントによってはMAX500個焼いたことがあります。
あの小さいオーブンでですよ。今となっては怖いw
趣味の範囲であれば材料にお金をかけても問題ありません。
しかしこれが商売となるとどうでしょうか。
焼けば焼くほど自分の首を絞めるのは本末転倒。
「たくさん焼けるか」というスケジュール管理も大切ですが、「商売として成り立つか」も同じくらい大切です。
飲食の原価率は30-50%と言われます。
パンは膨らむので30%を目安に考えてみましょう。
で、この時材料を買ってからパンの値段をつけるとおそらくめっちゃ高いパンが完成します。
なぜかというと「業務用」で仕入れていないから。
2.5kgの粉はやはり割高。
なので計算するなら業務用の25kgで計算をします。
砂糖や塩、バターも仕入れの方法で原価率に影響します。
逆算方法もアリです。
きっと改良点はたくさんあります。
これもパン屋さん体験。
メニューもずっと一緒ではつまらない。
ネットショップなら時々メニューをいじる方がお客さんに新しい情報を配信出来ます。
次のメニューにするならその原価計算も必要。
実はめっちゃ忙しいんです。
ぜひパン屋体験は一度お試しください。
イベントに足を運んでみる
次は「パン屋になったあと」を想像してイベントに足を運んでみましょう。
イベントもいろんな種類があります。
- フェス
- ママ向け
- ファミリー向け
- おしゃれさん
- アーティスト
- お店の企画 など
こんなイベントに出てみたいなという目標があるとヨシ。
わたしもパン屋をはじめたての頃に通っていた美容院のおしゃれイベントを知りました。
「こんなイベント出れたらかっこいいな」と思ったら、当時やっていたアメブロから出店依頼のメールが。
打ち合わせに顔を出したとき、お互い知っていたので爆笑。
何食わぬ顔で「こんにちはー」と入った風景は今でも鮮明に覚えていますw
すごいご縁ですよね。
そのイベントに出ていなかったら大きなイベントの主催も経験することはなかったんだと思うと、ご縁って不思議です。
ちなみにそのイベントの風景がよく画像に出すこの出店風景。
この机はすでに工房の1軍選手。
出店部隊だと思って購入したのに、机もびっくりしていますよねw
イベント主催をしていたとお話していますが、主催側目線の「出店して欲しいお店」の条件をお伝えしましょう。
つまりは「いい感じ」がポイント。
直感って大事ですよ。
違和感があるとのちに何かしらトラブルがありましたw
やっぱりね、人間は裏表がないのが一番。
最後は”人間性”な気がします。
なのでイベントを見にいくときがあれば”いい感じなんだけどなんか違和感がある”のなら、その違和感を探してみましょう。
反面教師にして自分は回避すべし。
家庭のバランスを考える
最後は「家族の理解」について。
全てが整ったとしても、実は最後の最後まで尾を引っ張るのが「旦那さんの理解」です。
我が家を例に出しましょう。
実は我が家ではわたしが主催をするイベントに夫が遊びに来るまでは「そうですかそうですか」という感じでした。
「楽しいことやってていいねー」な感じでしょうか。(見てたら怒られるかもしれないw)
2016年。
自宅近くの神社で1から立ち上げたイベントを開催しました。
1回目は大雨にもかかわらず1200人の集客。
2回目も大雨にもかかわらず1500人の集客。
3回目、初めて晴れて3000人を超える集客。
遊びに来ていた夫は圧巻されたそう。
この日を境に出店する時の空気が変わりました。
やはりね、メンズには感情論ではダメです。
行動&数字で示すのが一番。
家族間でよく揉めるのがお金の話。
我が家も例外ではありませんでしたので、話し合ってルールを決めて数字で出しました。
あれだけゴリゴリと出店していたわたしが今ネットショップメインにしているのはなぜか。
「子育て」に完全にシフトしたから。
小学校で息子がちょっと苦戦しました。
実はほぼ全ての期間、送り迎えをしていました。
この時に「仕事があるのに!!!」と怒るのではなく「この子のサポートをしたい」と思ったのは自分でも結構意外な感情だったかも。
夫も息子のサポートには理解を示してくれました。
となるとちょっと動きやすくなるんですね。
隙間を見つけて出店したり、主催したり。
無駄な時間、わたしは絶対に作りませんw
中学校はちょっと離れた面白い学校へ。
離れているだけでなく、最寄駅が不便すぎて、馴染みのある地元の駅までいつも送り迎えをしています。
これを大変とか、苦痛だなんて全く思いません。
かつて家族が学校に苦戦していた時。
わたしは何も出来ませんでした。
その時の後悔が今でも残っています。
だからこうやってネットショップに全振りしたり、動画やブログでパン屋の経験を発信していたり、思い切った選択肢を取れるのでしょう。
”家族の理解”の壁にぶち当たって思ったのは「会話なしには理解は絶対に出来ない」ということ。
よく「会話しても無駄」とかいう人いますが、それは単に逃げているだけ。
それを後回しにするからさらに拗れて、最終的には手のつけられないところで大喧嘩。
あれですよ。
やっぱり「明日やろうは馬鹿野郎」なんですよ。
後回しにしてはいけないんですね。
ただし会話のタイミングは考えましょう。
旦那さんの機嫌の良さそうな時にニコニコしながら話すんです。
そういうのって大切ですよww
今回のまとめ
今回は「パン屋開業前の今からでも出来ること」ということでまだ工房は作れない人のための4つの話をしてきました。
最後にポイントをまとめておきましょう。
4つの項目にわたって解説してきましたが、いかがでしょうか?
今からでも出来ること、1つくらいは見つかりましたか?
こうやって発信していると相談を受けます。
「どうやってネットショップを軌道に乗せましたか?」
「イベント主催はどうやってなりましたか?」
「パン屋の雰囲気、どうやって決めましたか?」など。
わたしから言えることは1つ。
『とにかく動きまくりました。』
気になったら試す、試してダメなら却下。
また別のものを試す、試して良かったら採用。
たまたま実家が商売をしていたので、ちょっとした商売感覚みたいなのが備わっていたのでしょうか?
その部分もね、今後紐解いてみて皆さんの役に立てそうな内容があれば共有していきます。