ちいさなパン屋を10年続けてきた中で「今、なにもしたくないな」とか「なにをやっても空回ってるな」と感じたことは数えきれないほどあります。
もともとそんなにメンタルも強くないし、なんならめちゃめちゃ心配性。
学生時代に強迫神経症と闘っていた時期もあり、その名残は今でも色濃く残っています。
ただ歳を重ねるにつれ、パン屋を続けるにつれ、少しずつですが対処法が分かってきました。
今回はそんなわたしの『モチベーション維持の方法』をお伝えします。
どうにも困ったぞ!というときに思い出していただけたら幸いです。
モチベーションのサイクルを知る
まずはモチベーションについて考えていきましょう。
モチベーションとは「動機づけ」といわれ、”ある行動を引き起こし、その行動を維持させ、結果として一定の方向へ導く心理的過程”のことをいいます。
一言であらわすと「刺激」や「やる気」ですね。
モチベーションは2種類あるといわれています。
- 外発的動機は「〇〇のためにやる」など外部からのはたらきかけによる意欲。
- 内発的動機は「やりたいからやる」など自分の中から湧き出るような意欲。
どちらも動機ではありますが、「やらされている」よりも「やりたいからやる」方が効果的な気がしますよね。
さて。ここで質問です。
なぜパン屋になりたかったのですか?
なぜパン屋に続けているのですか?
先ほどの動機の種類に当てはめてみると、”パン屋になりたくてなった”時点で内発的動機が強いことが分かります。
それだけでとても幸せなことなんです。でも現実はいいことばかりではありませんよね。
人と比べてしまったり、思ったより結果が出なかったり。そうなるといくら「やりたいからやっている」ことでもモチベーションは下がってしまうのです。
「PDCAサイクル」という言葉を聞いたことはありますか?
「PDCA」とはマネジメント品質を改善するためのフレームワークとよばれています。
これらをサイクルとして回し続けることで、継続的に業務が改善され、業務の効率化や業績の向上をもたらすといわれています。
個人的にはモチベーション管理にも似たようなサイクルがあるような気がします。
なんだか落ち込む→なんだか悩む→対処法を考える→行動してみる…以下、繰り返し。
わたし自身、このサイクルが比較的短いタイプ。こんな考えによく陥ります。
こんなことをずっと繰り返しているし、イベント出店をしていたときは毎回他のお店と比べて凹んでいました。
ネットショップメインになった今でも売れない時期はやっぱり凹むし、忙しい時期は軽くパニックになっていたりします。
気持ちが落ちたら上がるしかないし、気持ちが上がったら下がることもある。
上がるときは楽しいけれど、下がるときはとても苦しい。
分かっているのに落ち込んでしまう。困ったものです。
ただ、ながく付き合っているうちに対処法を見つけました。
それがこの4点。
- 不安を書き出す
- 情報を整理する
- 見える化する
- 受け入れ、行動する
行動したあとはどうせまた不安が出てきます。その都度対処をしていく作戦です。
人間ですから誰でも落ち込みます。ずっと落ち込んでいてもなにも変わらないですよね。
だから行動をしようと思うのですが、頭の中がまとまっていないのに行動したら結局のところ、またなにがしたいか分からなくなり落ち込む。なので最近は頭の中の情報整理を心がけています。
この無意識にやっていたことが最近はルーティン化され、だいぶ気持ちも落ち着いてきたように思います。
次の項目からはその方法をお伝えしていきましょう。
不安を書き出してみよう
不安ってどこからか知らないけれど湧き出てきますよね。
昨日まであんなに自信満々だったのに、ちょっとのことがきっかけでズーンと落ちてしまう。それが「不安」です。
不安は一度思い浮かぶとなかなか消えません。何かにつけて思い出してしまうし、だんだんと規模が大きくなってくることもある。
しかも厄介なことに「なにが不安かわからない」ということってありませんか?
そんなときはまず不安を書き出してみましょう。このときできたら紙などに書いてみる。
書くことはなんでもいいです。とにかく思いのまま紙に書いていきます。
これは『ブレインダンプ』とよばれる情報整理法で、頭の中のすべて言語化し、思考を整理する方法。
今自分が気になる情報をすべて書き出す。一旦書き出した時点で少しだけ気持ちが軽くなります。
書き方はどんな方法でもいいです。
ストレスのままに書き殴ってもいいし、箇条書きにしてもいい。絵で描くと感情が伝わりにくいので言葉にする方がおすすめ。
「これとこれは関係している」とつなげていってもヨシ。気の済むまで書いて、眺めてみる。それをみて「自分、がんばっていたね」とまずは労わってあげましょう。
情報を整理し、見える化する
不安を書き出すだけではまだなにも解決していません。
次はカテゴリに分けてみましょう。
大きく分けると4つくらいでしょうか。
不安だけでなく、これからやりたいことや目標とすることがあるなら書いても構いません。
カテゴリごとに分けたら、次はさらに広げていきます。
できたら1つの話題をどんどんつなげていきましょう。あとから「これが根本にあったんだ!」とわかることがあります。
1つ1つやるのは少しめんどくさいですが、自分を変えようと始めたのなら最後まで向き合ってみるときっと変わりますよ。
これが「マインドマップ」とよくよばれるもの。紙に書いていってもいいし、アプリなどもあるので使ってみてもいいでしょう。
マインドノートやマインドマイスターは3つまで無料で使えるよ!
デジタルだと移動させるときも楽なのでマインドマップはデジタル推奨派です。
書き出した不安や悩みをつなげて、根本的なものをみつけてみるといいでしょう。
でもここで終わってはいけません。
ここで終わるとまだなにも解決していないですよね。
次はその整理したことを「受け入れて、見える化」していきます。
受け入れる部分に関してはおそらく根本的な部分までたどり着いた時点で、ある程度のところまできています。
でも「自分、がんばったね」と励ますだけではまだ未来を変えることはできません。
ここまできたらあと一歩!
ここで登場するのが「ビジョンマップ」。
受け入れたその先で自分がやりたいことや自分のなりたい像を画像などを使って表現していきます。
実はわたしかつてはメンター的存在の人がいまして、定期的にビジョンボードを作っていました。もう10年くらい前の話。
作り方はとても簡単。
- 先ほど出てきた4つのカテゴリ。
- 子育てや家族のこと
- 仕事や学業のこと
- 美容や健康のこと
- 自分自身のこと
これらに関して「これから目指すヒト・コト・モノ」を挙げていきます。
イメージできそうなワードを出していきましょう。
ある程度出てきたらなにかボードでもいいし、アプリでもいいのでイメージに合う画像を集めていきましょう。
自分がワクワクするようなボードにしていきます。かつては雑誌など切り抜きを利用していましたが、今は便利な時代になりました。
スクショして切り取っていけば簡単につくれます。自分しか見ないのでなにを貼ってもオッケー!
一番は「テンションが上がる」こと。
最近はビジョンマップが作れるアプリも出ているし、それこそCanvaなどは素材も豊富でおすすめです。
ぜひワクワクするものをつくってみてください。
やらないことを決め、行動しよう
ここまでくると気持ちに少し変化があらわれることでしょう。
あんなに不安だったのに「またやってみようかな」とか「今できることをやってみるか」と多少はそんな気持ちになっているのではないでしょうか。
でもここで「とりあえずやってみる」ではじめてしまうとまた戻ってしまいます。
「とりあえず」だと、また落ち込んだときに漠然とした不安にさいなまれてしまうから。
もちろんサイクルを回しながら修正・改善をしていくことは大切ですが、先にある程度厳選しておくと楽になります。
ここはひとつ。「やらないこと」を決めてみてはいかがでしょうか。
現代はみんな忙しい。ちょっとやることが多すぎるんです。
だから心に余裕がなくなってしまう。
”やらないこと”というと難しくなってしまうので「やりたくないこと」をみつけてみましょうか。
- 年に1回の大掃除がめんどくさいなら、普段からこまめに掃除をする
- 帳簿管理があまりにも苦手なら、お金を出して依頼する
- ごはん作りで惣菜を作るのがめんどくさいなら、ときどき買ってもいいことにする……など
些細なことでもオッケー。
やらないことを決められるようになるとオンオフもつけられるようになってきます。
オンオフを管理できるようになると気持ちが浮き沈みしやすい人はだいぶ楽になります(何を隠そう、わたしがそうでしたから)。
あとオンオフのきっかけになるものがあってもいいかもしれませんね。
わたしは2週間から1ヶ月ごとにそのときの気持ちにあわせた曲を聴いています。
しばらくはCreepy Nutsの「のびしろ」を聴いていました。
パンを焼く前にテンションを上げてスタート。「よし、今日もがんばるぞ!」と強制的に気持ちをもっていけます。
そんなちいさなことでも全然いいので、自分をアゲるきっかけになるものも探してみましょう。
落ちるときは必ずあります。
対処法を知っておくだけで立ち直りも幾分か早くなると思いますよ。
今回のまとめ
今回は「ちいさなパン屋のモチベ維持術」ということで最近カタチになってきたサイクルをご紹介しました。
ポイントは4つ。
えらそうにモチベーションについて語ってきましたが、本当に過去のことでクヨクヨしやすいタイプ。
そのくせプライドが高かったり、カッコつけなところがあるのでなかなか人に相談できません。
相談したときは大抵の場合、ときすでに遅し。自分でもなにに悩んでいるかわからないほど、複雑に要素が絡み合っていることが多い。
分かっているのにまだまだ全然自己管理できていません。
その中でも本当に少しずつですが、紹介した方法を実践していたら「今はこんな感情だから落ちているんだな」と客観視できるようになってきました。
人間ですから悩みます。それに悩みがなかったら楽しくない。
好きなことを仕事にできる喜びを感じながら日々を過ごしていけたら幸せですよね。
やれることからぜひ取り入れてみてください。