今回はきっと気になるであろうパン工房にかかるお金の話。
パン屋として活動する上で欠かせないのが“厨房“。
厨房=パン工房を作るには自宅からの距離や金銭面など複数の要素が噛み合って初めて「よし、工房を作ろう」となります。わたしの場合はきっとかなり恵まれた環境ではありましたが今の工房が完成し、6年。
大変なこともありますが、毎日楽しく焼いています。
「こんな世界もあるんだなー」くらいの軽い気持ちで観ていただければ幸いです。
ぜひ動画も合わせてご覧ください。
パン工房の取得まで
まず初めに許可について簡単にまとめておきましょう。
工房の申請までの流れはこんな感じです。
保健所に図面を持っていき、「この部屋に何が足りないか」を相談すると教えてくれます。仕上がってきた図面を持って再度相談し、「このまま進めて大丈夫か」ということを確認しました。
特にわたしの場合は物置の改装だったので、先に聞いておいたことで足りない部分はほとんどなく進めていくことが出来ました。
業者さんと図面などの打ち合わせの後、工事→申請→許可証交付と進んでいきます。
先に相談していたことにより、申請はとてもスムーズ。
最終的な審査は現地調査となり、ざっと条件に不備がないかを確認していただき、許可がおりました。
仮の許可証をもらってから書面を提出。
書類が出来たら保健所に取りにいく、という流れでおおよそ交付までは2週間ほどかかりました。
飲食系の許可とは
さて、ここで飲食に関する施設の許可についてまとめておきましょう。
飲食の許可は大きく分けて2種類あります。
「飲食店許可」と「菓子製造業許可」。
このうちカフェのようにお客さんの飲食スペースがあるのが「飲食店許可」。
製造して外で販売したり、テイクアウトで販売するのが「菓子製造業許可」です。
わたしの場合はパンやお菓子を作るだけなので「菓子製造業許可」を取得しています。
条件は自治体によって異なりますが、一部抜粋するとこんな感じ。
超分かりづらいので噛み砕きますと、
- 自宅キッチンとは別のキッチンであること
- シンクが3つあること
- 水道はお湯が出て、火が使えるコンロがあること
- 扉には網戸があり虫が入らないようにすること
という感じ。
肝になるのが『自宅と別のキッチンが必要』であること。
これはつまり、
- 自宅にキッチンが2つある
- 自宅にリフォーム可能な部屋がある
- 敷地内に何かしらの場所がある
- 物件を借りることができる
おおよそ4択になるのではないでしょうか。
※レンタルキッチンなどもありますが、自宅からの距離など物理的に条件が整わないと大変なのでここでは除外します。
イナバの物置をパン工房に!
Jobbyのパン工房。こちらはもともと『イナバの物置』でした。
もともと農具小屋として使われていたただの倉庫。
もちろん電気もガスも水道も通っていません。
そのためイナバの物置をパン工房にするまでに必要だったのが
- 電気、ガス、水道を通すこと
- 入り口と窓に網戸を設置すること
- 土間をフローリングにすること
- 換気扇をつけること
- 腰壁をつけ、クロスを貼ること
- シンクを3つつけること
- 道具や棚、机を用意すること
こうやって挙げてみると結構ありますね。
家の一室を改装、であればやらなくてもいい工程もあります。
工事期間はおおよそ1ヶ月。
ざっと工程としては
- 壁と床を取り付ける
- ガスを自宅から引っ張ってくる
- 水道、電気の工事
- 腰壁、クロス貼り
- 塗装
工事が終わってから机や棚などを設置しました。
では費用をそれぞれざっと書き出してみます。
- 電気工事:約40万
- 水道、ガス工事:約20万
- 内装(床、腰壁、クロスなど):約85万
- オーブンや発酵器などの器具:20万くらい(買い足したもののみ)
- エアコン:約15万
- 許可申請の費用:18000円(6年の許可)
- 食品衛生協会への保険料:年間約2000円
建物や譲ってもらった家電や家具は費用に含みません。
自宅の一室を改装するなどの場合は水道とガスの工事が必要にはなりますが、想像しているより費用はかからないかと思います。
また、物置を利用する場合でも土間をそのまま使用するなら床の工事は必要ないためコストを削減できます。
どんな物件からスタートするかでもかなり変わってきます。
庭の物置を改装したい!という場合はわたしの例が参考になるかなと思います。
パン製造の道具について
もともと「小さい活動」を前提として考えていたため、電化製品に関してはかなり費用を抑えました。
- 発酵器は家庭用3台
- こね器は家庭用に近い業務用2台
- ガスオーブンはコンベック1台
- 冷蔵庫は2人暮らしくらいのサイズ
発酵器は持っていた1台&妹から譲り受けた1台&買い足した1台。1台4万円くらいでした。
こね器も持っていた1台に加えて、1台買い足しました。3万円くらい。
冷蔵庫は実家で使われていなかったものを譲り受けて自ら塗装。
大きい収納棚は母が購入したものの、サイズが合わずたまたまわたしの元へ。つまり譲り受けたものです。
こう考えると“あるもの“で成り立っていることが分かります笑
イベントなどでのテイクアウトをメインに考えていたので、パンを販売するための陳列棚などは購入していません。
イベント出店用にタープやディスプレイ用の机などは別途購入。
こちらは「軽く・小さくなって・運びやすい」を条件に探しました。
材料費・維持費について
パン工房は作ってからが始まり。
小麦粉、調味料、水、ドライフルーツなど材料はその都度かかります。
国産のものを使うのか、天然酵母を使うのかなど扱う素材で材料費がかなり変わります。
また電気代などの固定費もかかります。
夏は小麦粉の保存のためエアコンは必須だし、ガスオーブンならガスも使います。
パン屋だけに限りませんが、広告宣伝費などパンとはまた別で必要になる費用もあります。
通販をしていると梱包材なども必要になるし、イベント出店なら出店料、店舗なら家賃などなかなか維持をするのは一苦労。
自宅の工房とはいえ、固定費はそれなりにかかります。
主婦をしながらのんびりパンを焼きたいとは思っていますが、実際そんな思考だけではもちろん難しく、維持費や固定費・材料費や宣伝費を考えながらさまざまな価格設定をしています。
今回のまとめ
今回は「パン工房の気になるお金の話」、工房の許可から維持費についてまでをお伝えしました。
- 部屋を改装するのか
- 物置を改装するのか
- 物件を借りるのか
わたしの工房は自宅横のイナバの物置を改装し、工房の許可を取りました。
パン工房は作るだけではなく、そこからが始まり。
維持費や材料費などコストはかなりかかるので価格設定までそれなりに気を遣います。
どこを重視するのか、どこを削るのか、日々考えながら活動しています。
単純だけれど奥が深い。どの世界もそんな感じですよね。
さあ、今日も頑張ろう♪
それでは~。