今回は維持費などに並ぶくらい気になる話題。
「っていうか、実際のところ稼げるの?」というお話です。
気になることがきっといろいろありますよね。
結論から先に言ってしまうと『想像しているより稼いでいない』といったところでしょうか。
でも個人事業主だからこそ、工房が自宅横にあるからこそ、のいいこともあります。
今回は例を挙げつつ解説していきます。
”お店をもたない”という選択をして活動を続けた結果、『で、どうなのよ?』というところの話をしたいと思います。
実際のところどうなの?
初めにもお伝えしましたが、実際のところどうなの?という話。
一言で終わらせてしまうとすれば『思うほど稼げてません』が適切かなと思います。
これは売上がないとかそういう話というよりも固定費が思いのほかかかるから。
これは割とどんな分野にも当てはまりますよね。
パン屋の場合材料費はもちろん、光熱費もかかってきます。
光熱費は使っている時だけではありません。
夏、小麦粉が傷まないようにエアコンをつけますよね。
作業をしていない時間も、人がいない時間もエアコンは付けているので電気代がかかります。
自動車税とかエアコンのお掃除とかも費用はかかってきます。
ネット代、スマホ代、作業するためのパソコン代もそうだし、わたしの場合はついでに動画やブログも更新しているのでその維持にかかる費用もかかってきます。
また食べ物は腐るのでずーっとはおいておけません。
食品ロスも無視できない話ですよね。
後ほど解説しますが、自宅工房だからこそ“家事按分“という形で考えることができるというのはこの働き方の一種の強みにもなりえます。
3つほどに分けて計算をしてみましょうか。
ちいさなパン屋としての1ヶ月の売上が
- 5万円
- 10万円
- 25万円 あるとします。
分かりやすく材料の原価率を30%とし、固定費が一律1万円かかるとしましょう。
それぞれ画像でまとめていきます。
売上が多いほどその分使う材料が増えるので原価がかかります。
固定費は多少の誤差は出てきますが、売上があってもなくてもかかってきます。
なのでたくさん売り上げた方が手元に残りますよね。
ではこれが
- 1日で5万円売り上げるイベント
- 週4日午前中のみ働いて通販で得た売上25万円
でも考えてみます。
1日で5万円売り上げるイベントの場合
イベントだけで5万売り上げたとして、固定費の中に出店料も含めるとすると2万5千円が1日で手元に残ることになります。
ただし考えておきたいのはイベントの日はなかなかハード。
2時起きでパンをひたすら焼いて朝の7時や8時に出発。
片付けをして帰宅するのが16時くらい。
なかなかの重労働ですね。月に何回もわたしは出来ません。
週4日午前中のみ働いて通販で得た売上25万円の場合
次は週4日午前中だけ働くというスタイルで計算してみましょうか。
この売上には発送にかかる費用もかかってくるのでお客さんからいただいている送料を3万円と仮定します。
先ほどの計算の16万5千円からまずは3万円を引き、13万5千円。
週4日なのでこれを16で割ることになります。
ということは1日8500円くらいになりますね。
1日ゴリゴリ頑張って稼ぐか、
コツコツ積み重ねる形で稼ぐのか。
本業を持ちながら土日だけ出店する、というスタイルがあってもいいと思うし、午前中だけ働いて他の時間は別の作業にエネルギーを注ぐ。
そんな働き方もあってもいい。
趣味を仕事に出来る喜びはお金には変えられないものでもあります。
どんな働き方をしたいのか、家族がいるのであればどんな働き方がバランスが取れるのか。
この部分を考えながら自分なりの働くスタイルを見つけるのがいいと思います。
ちなみに私は先ほど例に出した“週4日午前中だけ働くスタイル“が現在の働き方に一番近いです。
空いた時間は掃除や模様替えをしたり、動画編集やブログ執筆などをして過ごします。
道具が壊れたり、ドメインや会計ソフトの契約更新などで出費が重なって「おかしいな、ギリギリじゃん」なーんてことはザラです。
正直な話、現実は甘くないと身に染みて感じていますw
出店と通販、どっちが稼げるの?
次は出店と通販、実際のとこどっちが稼げるの?と言うお話。
面白くない答えになっちゃいますが、これに関しては“考え方は人それぞれ“となります。
一点集中派なら出店
「1日でドーンと稼ぎたい」「土日を利用して稼ぎたい」ということなら出店。
出店は天気にとても左右されます。
台風や大雪、大雨などはイベント自体が中止になることもあります。
飲食の場合は直前のイベント中止はかなりの痛手。
食べ物、という原材料を仕入れてしまっており、しかもそれは腐るものが多い。
ギリギリイベントが開催されたとしてもお客さんがいなかったら結果的にロス。
シビアな現実です。
逆に人気なイベントなどはものすごい勢いで売れることもあります。
パン屋としては焼いていく個数で売上が決まってしまうので完売したら残り時間はお買い物タイム。
そこは割り切っておくことも必要です。
出店者同士の交流も繋がりができて楽しいです。
販売の数に関しては
- 「このイベントならこのくらいかな」
- 「小さめのイベントだからこのくらいかな」
- 「天気微妙だから控えめにしておくか」
など体感で決めていくことになります。
- 焼いただけ売れる可能性がある
- 自分で個数を良くも悪くも決められる
- 天気に左右されやすい
季節外れの暑さでコッテリパンが売れ残ることもあったり、理由なくなぜかカレーパンだけ売れ残る日もあったりで正直な話読めませんw
飲食の数によっても分散されたりするので影響を受けることもあります。
なので出店するイベントの規模や飲食のバランス、開催時間や天候を総合して考えて準備します。
のんびり派なら通販
次に通販を考えてみましょう。
飲食の通販の強みは“受注生産“であること。
通販だからといって受け身の姿勢でいるとびっくりするくらい注文が入りませんw
それを狙って長期連休などにうまく休みを取ることもできますが毎回そんなことをしていたら固定費すら厳しくなります。
わたしの場合は“今週のパンセット“みたいな感じで毎週セット商品を考えて、毎回内容を変えて販売するようにしています。
お客さんも楽しめて、推しパンを入れることが出来る。
パンが焼けて楽しいし、お互いにとっていいのが週末パンセット。
在庫を自分で生み出しておく、ということは在庫を抱えることもあります。
それは覚悟の上の焼き上げになります。
端数なんかは”自家消費”という形で自宅で食べることもあります。
このバランスは難しいといえば難しいですが、在庫数を設定しないで全て受注生産という形にもできるし、在庫数を固定して売上に天井を付けながら販売することも可能。
- 自由度は高い
- 攻めないと売上にならない
- 攻めすぎると発送が遅れてしまう
- 自分自身が疲れてしまうこともある
この辺りは続けながら自分のバランスを探していきましょう。
わたしの場合は少し前まで出店と通販を両立していましたが、最近になって通販をメインに活動を絞ることにしました。
これもまた、答えがない。ご参考までにどうぞ。
自宅工房だからできること
さて、ここまで聞いていると「あんた、働き方がゆるくないかい?それで大丈夫かい?」と思われますよね。
大丈夫です。私も思ってますからw
でもこれは“自宅横にあるパン工房“だからなせる技でもあります。
家賃はかからず、田舎なので固定資産税は微々たるもの。
光熱費などの固定費は“家事按分“として一定の割合で計算をしており、固定費という面では物件を借りていないためかなり軽減されています。
通勤もないから交通費もあまりかかりません。(ヤマトとスーパーの往復くらい)
仕入れもネットを中心に行なっています。
ガソリン代、車検代、点検代などは一定割合を計上。
通信費や作業着なども同じ感じで経費として計上します。
仕事として使っているので当然ですが、この辺りを出していたら先ほど例に挙げたような売上では毎月割とギリギリ、っちゃギリギリです。
が、“家全体“で考えたら経費というものはそれなりに効力があります。
個人事業主としての守られている部分を適正に使いながら、家全体で考えて働く、というのは1つの方法になります。
自宅の一室、自宅の敷地内など家賃のかからないタイプの働き方のゆるさのトリックは“経費“にあると言えます。
どう働きたいかは人それぞれ
そうはいうものの「やっぱりあんた、働き方ゆるいよね?」と思いますよね。
これは私自身があえて狙ってゆるく働いている部分があるから。
私自身が“家族“というものに苦労してきた人生のため、『家族の関係性』に人よりも大きな比重をおいています。
家族と過ごす時間、会話する時間、旅行の時間や育児に対する考え方など“私自身がどうしても埋めたい愛情“が根底にあるからこそ。
これが私が外に出ていくという働き方から少しずつ離れていった理由でもあります。
家族の理解もあり、おかげさまで少しずつその心の傷は癒やされてきている気がします。
だから逆の考え方があってもいいと思います。
「お小遣い欲しいし、土日は好きなことで稼ぐ!」でもいいし、「バリバリ働いている背中を子どもに見せたい、だからお店を持つ!」でもいい。
人生は人それぞれ。いろんな考え方があっていい。
その一例として私のような家庭優先のパン屋さんという働き方もあるんだな、と思っていただければ幸いです。
今回のまとめ
今回は「お店をもたないちいさなパン屋って正直稼げるの?」について売上の面から出店、通販などの働き方、活動のバランスについてなどをまとめました。
『想像してるほど稼げない』という現実。これは自覚しています。
でもこの働き方をしたことでわたし自身は大切にしたいことを守れています。
どう稼ぎたくて、どう働きたくて、何を大切にしているのか。
もちろん家族がいるなら今後のことを話し合う必要はあります。
そんな部分を考えながら働き方を模索してもいいんじゃないかなーなんて思います。
これからも小さなパン屋の情報をモリモリ配信していきますね。