少しずつ秋の足音がしてきてますね。
秋は食欲の季節。
美味しい食べ物もたくさん出てきます。
今回は「秋のパン作りのポイント」をまとめておきます。
秋メニューについては次の動画で解説予定です。
キーワードは『気温の変化』。
「今日は涼しくても、翌日は暑い。」
そんなことが平気で起こるのが”秋”という季節。
せっかく時間をかけてパンを焼くわけですから、なるべく失敗なく美味しく焼きたいですよね。
注意するポイントをいくつかまとめておきます。
今回はおうちでパンを焼きたいなという方向けの内容となります。
気温差に注意
最近の日本は春と秋が異様に短い気がします。
春と秋に共通するパン作りの悩みは「温度が安定しない」ということ。
気象庁が発表している2021年の春と秋の平均気温と相対湿度を参考にしてみましょう。
こちらをご覧ください。
それぞれの月の平均気温と相対湿度です。
今回は春と秋のみ抜粋しています。
春は10℃台で推移。湿度は70%以下であることが多いです。
秋は9月が温度変化が激しく、30℃を超える日もあります。
加えて湿度も秋の方が少し高め。
パン作りにおいては10℃台と20℃台では発酵にかなり影響が出てきます。
3-5月と9-11月の温度差は8℃ですが、パン作りでいえばこれはかなり大きな差。
春から夏の仕込みが大変なように、夏から秋の仕込みや成型も気を遣う場面が多いというわけです。
「夏はずっと暑い、冬はずっと寒い。」
これはある意味パンを仕込む上では同じ作業をすればいいのでわかりやすい部分ではありますよね。
わたしの場合、冬場の工房は暖房を消すと冷蔵庫並みになるので生地を室温に出して一次発酵を行っていたこともありました。
が、これを調子に乗って3月初旬や11月下旬など温度変化が起きやすい季節にやると予想していなかった気温になり過発酵。
最近は季節問わず冷蔵発酵に落ち着いていますw
冷蔵発酵は「一次発酵を冷蔵庫で行う」というパン作りの方法。
一次発酵を冷蔵庫で行う以外は基本的に普通のパン作りと同じように成形・二次発酵・焼成をしていきます。
夏は生地のゆるみが早いので冷蔵庫から出した生地はすぐ成形していけば良いのですが、少しずつ涼しくなってくる秋は日によって準備する日も増えてきます。
”長袖でも暑くない気温になってから”は割と快適にパンが焼けます。
わたしの中での体感は
- 肌寒いなと思った日は冷蔵庫から出して10分くらい室温待機
- 寒いぞと思った日は冷蔵庫から出して20分くらい室温待機
生地が冷たいなと思ったら少しだけ生地を緩ませてあげると成形がグンと楽になります。
ただしあまりに置きすぎるとベタベタしてしまったり、発酵の進行も早くなってしまうので要注意。
自分が快適にいられる温度の日を狙ったパン作りもいいですよね。
朝起きて「今日はこの服にしよう」という感覚を大切にしてみてください。
長袖シャツ1枚くらいの時が狙い目です。
水分量を工夫しよう
先程の項目でも少し触れましたが、湿度も秋はまだ高めです。
梅雨からまだ暖かい秋にかけては基本の生地よりも10ml程度水は少なめにして仕込みをすることをオススメします。
時期で言うと6月から9月あたり。
秋。10月の中旬以降はカラッとしてくる頃。
おそらくこの辺りで同じように仕込んでいると「なんだか生地がまとまらないな」というタイミングがあるかと思います。
そのタイミングが通常の水分量に戻すチャンス。
そしてこのタイミングからは温度も低くなってきます。
いわゆる”長袖シャツ1枚”くらいの季節になっています。
常温のお水では生地が冷えすぎて発酵が遅くなる頃でもありますので、ほんの少しお湯を入れて温度を調節するなどして生地を冷やしすぎないようにしましょう。
あまりお湯を増やしすぎて仕込みの水が40℃を超えてしまうと酵母が死んでしまいますので「ちょっとまだ冷たいかな」くらいがベスト。
全体的に”体感”になってしまうのは申し訳ないですが、気温も湿度も毎日時間と共に違うものです。
何度か挑戦してみて少しずつ温度と水分量を掴んでみてください。
まだまだクッキー生地は厄介
メロンパンは年中食べたいもの。
夏の暑さはバターを配合するクッキー生地にとってはなかなか鬼門です。
夏の場合は暑いことは分かっているので、16個分作業するとしたら小分けして丸めたものを冷蔵庫に入れておいて4個ずつ作業するなど工夫すれば比較的楽に作業が出来ます。
これが秋になると
- 全部出して作業すると柔らかくなりすぎる日がある
- 冷蔵庫に入れておくと硬くて伸ばしにくい日がある
- 柔らかくなりすぎると真ん中から割れて見た目が最悪
- 抹茶などを混ぜ込んだらいつもより明らかに硬い
仕込みと同じように”いい塩梅”で作業する必要があります。
11月になるとだいぶ寒くなってくるので、パン生地を丸めている間にクッキー生地は常温待機させて柔らかくさせるほうがたいてい成型がうまくいきます。
一番いい頃合いは「丸めたクッキー生地をつまんで少しむにゅっとするくらい」。
潰す時も滑らかに伸ばせて、グラニュー糖をつける時もスムーズ。
ざらめをつけるのもちょうどいい感じになります。
目安としては「ざらめが付きにくいようならちょっと硬い」と思っておいていいかと思います。
冬はざらめがとても付きにくいので霧吹きを使うこともあります。
バターの量を5gだけ増やす、卵の量を5gだけ増やすなどクッキー生地自体を緩ませるということも必要になります。
抹茶やきなこなどサブの素材を加えている場合は特に硬くなりやすいので、季節を問わずバターの量をほんの少しだけ増やしてみてください。
だいぶ作業しやすくなりますよ。
11月後半からは冬仕様に
秋といっても9月の初めと11月の終わりでは全然違います。
おおよそ11月の後半にかけてはもう冬モードに入ってオッケー。
つまり水分量は通常に戻して、1/4程度お湯で置き換えることになります。
秋は温度変化の多い季節。
冷蔵発酵をするなら翌日のお天気と気温も参考にしてみてください。
パン作りは温度と発酵と体感が大切。
寒くなると二次発酵に時間がかかるようになってきます。
牛乳や豆乳などを温めるときは成分が変わらないよう600w30秒ずつなどこまめに温度を上げるようにしてください。
小さい鍋で超弱火で様子を見てもオッケーです。
指を入れて「ぬるいな」くらいが適温だよ!
「熱い」と感じた時には50℃超えていることが多いです。
温度計があれば30℃前後がベスト。
発酵に関しては特に二次発酵が肝となります。
発酵器がない場合で室温で発酵させる時はトレーにお湯を張って、その上に天板を乗せ布をかぶせるなどして温度と乾燥にも注意します。
ハードパン以外で表面が乾燥してしまうとそのパンの良さがなくなってしまうこともあるので乾燥してきたなと思ったら必ずぬれぶきんは用意しましょう。
今回のまとめ
今回は「秋のパン作りのコツ」について解説しました。
最後にポイントをまとめておきましょう。
季節の変わり目は毎日パンを焼いていても失敗することがあります。
『そうか、もう夏が終わったんだ』なんて余裕を持ちながら焼くとパンもいい顔をしてくれますし、気持ちも穏やかに過ごせます。
中でも扱いが難しいのがクッキー生地。
ゆるめのクッキー生地だとして、例え成型がその時うまくいっても焼いてみたら発酵の段階でダランダランになってしまって見た目が最悪。
売り物にならないことも時々あるよ。
その時は硬めのクッキー生地の時は潰している段階から嫌な予感。
熱を加えても想像しているよりクッキーがおりてこなかったりするとパン生地にクッキーが乗っかっているだけのカッコ悪いメロンパンになることも。
メロンパンには翻弄されっぱなしですが、長く続けていると「今日はいい感じ」という直感も洗練されてきます。
挑戦、失敗、改良、再挑戦。
これはどんな分野にも言えることでむしろ挑戦をしなくなったら衰退する手前の段階にあると言えます。
パン作りだけでなく、何事もやってみる。
失敗したらその時考えればいいんです。
怖がらずにいろいろ挑戦してみましょう。
おうちでおいしいパンが焼けるようわたしもコツなどをまとめていきますね♪