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パン屋運営

パン屋として知っておきたいアレルギーの話

今回は『パン屋とアレルギー』のお話。

私事ではありますが、妊娠を機に卵アレルギーを発症。

かれこれ卵アレルギーとの付き合いは12年ですかね。長くなりました。

徐々に症状が悪化していき、5年前ほどから卵の完全除去生活をしています。

自炊はもちろん、外食でも旅行でも卵を摂取しないように日々気を遣っているわけですが…お店などで注文前に

おぱんくん

「卵を使っているか分かりますか?」

と聞いて即答出来るお店そうでないお店があります。

もちろん記載してあったり、すぐ教えてもらえるお店もあります。

でもこれはアレルギー持ちには死活問題

“分からない“で済まされては困る内容です。

今回は実際にアレルギーを持っているわたしの経験も入れつつ「パン屋として気をつけていること」をまとめてみました。

食べるか、食べないは自己責任ではあります。

冷たいようですが、自分の身体の調子は自分しか分かりません。

ただしパン屋として知っておくことはとても大切なこと。

自分のお店を守るためのになります。

知識の一つとして頭の片隅に入れておきましょう。

この記事の動画はこちらから

食物アレルギーとは

まずアレルギーの基礎知識からまいりましょう。

食物アレルギーとは『特定の食品によって引き起こされるアレルギー反応』のこと。

原因となる物質を『アレルゲン』と呼びます。

この7品目については食品に使用する場合は表示することが義務付けられています。

実際 minneなどのネットショップでは作品登録ページに『アレルゲン表記』を選択する項目が用意されています。

※minneの作品登録ページより

次にアレルギーの症状についてまとめておきましょう。

アレルギー症状としては2種類

  • すぐ現れる症状
  • 時間が経ってから現れる症状 があり、

  1. 蕁麻疹や発疹
  2. 嘔吐や下痢などの消化器症状
  3. 喉の違和感や息切れ がよく出てくる症状です。

生命の危機になりうるのものを”アナフィラキシーショック”と呼びます。

と、専門的な知識をつらつらと話していてもなんなので実際にわたしがアレルギーになった経緯をお話ししていきましょう。

わたしのアレルギー発症は妊娠が分かった2010年初め。

もともとオムライスが大好物。

ケーキも好きだし、ゆで卵も好きでした。

好きなパンはクイニーアマン。ザ・デニッシュですねぇ。

花粉症とは無縁だったのに、なんだか目がかゆい。

まずは花粉症発症からスタート。

ある日家族ですき焼きを食べ、数時間後。

明らかに胃が気持ち悪い。

おぱんくん

「食べ過ぎたな、反省。」

と思って過ごしていたものの、お腹が痛すぎる。この日はとりあえず耐えて終了。

その後「たまたまでしょ」が数回続き、苦しみ抜いてようやく気づく。

卵を食べた後、体調が変だ。』と。 

アレルギー検査をしても、アレルギーはないと言われてしまいました。

大人になってから発症したアレルギーでは検査で出てこないことは珍しくないそうです。

でも症状が明らかなのであればそれは「アレルギー」。

ということで現在も頓服薬は持ち歩くようにしています。一時期はエピペンも持っていました。

この時出来ることとすれば半熟卵と生卵を避けること

当時はまだしっかり熱が加えられていれば卵自体は食べることが出来ていました。

症状が出るたびにだんだん酷くなっていき、極め付けは”寝不足”と”ストレス”が重なった頃。

とんかつのつなぎ」で使われていた卵でノックアウト!

胃痛、嘔吐、下痢、顔面蒼白、冷や汗。意識も朦朧としていました。

数時間後に発症するいわゆる”遅延型アレルギー”だったのですが、3時間耐えるしかない。

いやー辛かった。

出産とどっちが辛い?と聞かれたら『同じくらい痛い』。

二日酔いとどっちがマシ?と聞かれたら『二日酔いのが数倍マシ』。

ああ、思い出すだけで胃が気持ち悪くなってきました。

この辺りで症状の話は終わりにしましょう。

伝えたいのは『アレルギー症状が出ると超絶辛いのよ』ということ。

わたしの場合は胃腸症状がメインですが、人によっては発疹や蕁麻疹だったりします。

特に気道が腫れてしまうと呼吸困難になってしまうのでアレルギーは本当に注意が必要です。

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実録:アレルギー持ちの苦労

アレルギー症状を思い出して胃が気持ち悪くなってきたところで、卵アレルギー持ちの外食事情についてもお話ししていきましょうか。

主に苦労している場面といえば

  • ラーメン
  • ランチ
  • おやつ
  • ハンバーガー というところでしょうか。

麺はつなぎで卵を使うことが多い。

うどんはセーフ。そばはちょっと危険。ラーメンはほぼアウト。

ラーメン屋さんは基本的に入れませんが、サイドメニューが充実しているお店は入れます。

が、ここで油断してはならない。

フライパンを調理の流れで使っていると卵エキスが残っている!

卵エキスも反応する繊細な身体(笑)翌日腸が1日ずっとキュルキュルします。

続いてランチ。

ランチで食べられないものも多いですが、デザートのケーキが鬼門。

ランチにスイーツ付き、はほどんどアウト。さみしい。

ソフトクリームも卵が入っていることがあるので必ず確認します。

ハンバーガーはバンズに卵が使われていたらそのお店のメニューは全て食べられません。

そんなときはひたすらポテトを食べます。全然満腹にならない…

旅行ではビュッフェが定番ですが、先に卵アレルギーについて伝えます。

最近のホテルは表記されていることが多いので、それを参考に選びます。

この時パン屋として残念なお知らせです。

ビュッフェのパンはほとんど食べられないという悲しい現実。

デニッシュ生地もアウト。カスタードクリームもアウト。

なんということだ、味見が出来ないではないか。

ベーコン、大福、サラダチキン。

どこに卵よ!!」と毎度突っ込みたくなりますが、密かに卵が入っています。

話が長くなりましたが、卵アレルギーでコレです。

かなり気を遣って生活します。

他にも乳や大豆、小麦アレルギーがある場合は生活が本当に本当に大変です。

パン屋として注意していること

さてここからはパン屋さん目線でのお話にまいりましょう。

アレルギー対策、と言っても全てのアレルギーに対応出来るわけではありません

実際工場などで作られているお菓子で、卵不使用であっても工場内で作業場を共有していたりするとわたしもアレルギー症状が出ることが稀にあります。

だからパン屋さん側としては

  • 出来る限りの対策はする
  • ただし最終的には自己判断で

というスタンスが一般的になります。

わたしのパン工房では卵と乳に関しては工程の順番を気をつけるようにしています。

ちなみに米粉パンは取り扱っていません。

米粉パンだから安心!というのは米粉パン“のみ“を扱っている場合のみ。

小麦粉を少しでも使用している以上、機械は確実に小麦に触れます。

少しでも小麦を扱っている工房であれば確実に飛沫として飛んでいるので、確実な対策は難しいと考えています。

例えばこんな状況を想像しましょう。

今回焼くパン(例)
  • ベーグル
  • メロンぱん
  • チーズぱん
  • チョコぱん
  • はちみつぱん

以上の5種類を焼く場合。

こんな風に焼くようにしています
  1. 1枚のマットで“ベーグル“を成形
  2. もう1枚のマットで“はちみつぱん“を成形
  3. はちみつパンのマットは一度洗う
  4. チーズパンを成形
  5. チョコパンを成形
  6. メロンパンを成形

全て小麦粉を使用しているので、基本的に注意するのは『大豆→乳→卵』の順番にします。

チョコは一般的に乳と大豆が含まれています。

メロンパンのクッキー生地は卵、乳が含まれています。

アレルギーの比率としては卵が一番多いということでこの順序にしています。

作業を全て終えたらマットはしっかり洗って、消毒をしておきます。

イメージとしてはこんな感じ。

では問題です。

<ウインナーロールとチョコぱんはどっちを先に成形する?>

正解は

  1. ウインナーロール
  2. チョコぱん

どちらも乳を含んでいることが多いのですが、順番をつけるとしたら先に紹介した『7品目』が多い方を後に作業するルールにしています。

大豆は7品目ではありませんが、アレルゲンでは有名なものです。

アレルゲンになり得るものが多い方を後にするようにしています。

と言ってもこれは完全にわたしが作った“マイルール“なので正解なのかは確実ではありません。それに関しては悪しからず。ご参考までにどうぞ。

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最終的には自己判断で

最後は現実的な話で締めることにしましょう。

アレルギー持ちの方は事前に「コチラのパンに卵は使われていますか?」と質問をしてきてくれます。

そんな時わたしはこの4項目をお伝えしています。

お伝えしていること
  • 基本的な生地は卵不使用です
  • 卵を使用しているパンは最後に作業するようにしています
  • 体調に異変があった場合は食べるのを即中止し、受診してください
  • 作業場を共有しておりますのであらかじめご了承ください

酷な話にはなりますが、これは『最終的には自己判断ですよ』という意味。

わたしも卵アレルギーだから重々承知しています。

『確実』はないのです。

ただ、しっかりお伝えしておくことは大切だと考えています。

幸いこれまでわたしが焼いてきたパンでアレルギー症状は出たという連絡はありません。

これからもないことを願っていますし、注意もしていきます。

アレルギー持ちがどれだけ不便な生活をしているか気持ちが分かるからこそ、その味方でありたいなとも思っています。

でも、やっぱり最後は“自己責任“なのです。

売る側も買う側もそれを了承の上になることは心しておき、日頃から作業工程などの対策をしておきましょう。

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今回のまとめ

今回は「パン屋とアレルギーの話」ということで、卵アレルギー持ち目線でまとめてみました。

わたしの卵アレルギー事情ですが、5年間完全除去生活をしてきて身体が卵を忘れ始めているのか“特定の商品“は食べることができるようになってきました。

でも調子に乗っていろいろ試すと時々大変なことになります。つい先日も卵は入っていないことを確認したはずのお菓子で胃腸症状に見舞われました。

おそらく製造ラインで混入しちゃったのかな?と思うのですが、あのイヤーーーな予感には毎回心臓がバクバクです。

もともと卵を食べることが出来ていたからこそ、しかも大好物だったからこそ卵のおいしさは知っているし、悔しさもあります。

でも裏を返して「アレルギー持ちさんの気持ちがわかるパン屋」でもあるのかな、なんてプラスに考えるようにしています。

引き続き気を引き締めて作業をしていきます。

2021年6月からはHACCPという食品に関する衛生管理の実施が義務化となりました。

これは要するに

“衛生管理計画を作って、清掃や消毒や食品の取り扱いのルールを残しておいてね。たまに確認するからよろしく!“ということ。

アレルギーに関しても要項に少し記載されています。

パン工房やお菓子工房、飲食店では実施が必須。

こちらも併せて確認しておきましょう♪

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