今回は久しぶりのパン作りの話題。“パンの焼き上げについて“のお話です。
普段平日でもなんやかんやと1日60個から80個ほどは焼き上げております。
ちょこちょこと聞かれることがあります。
どうやってそのちいさなオーブン1つで焼いているの?
パン屋さんといえば大きなオーブンを想像すると思うのですが、わたしのパン工房ではコンパクトなオーブンを使っています。
リンナイの業務用コンベックです。
この小さいオーブンでイベントの日は夜中から300個近く焼くこともあります。
言われてみればどうスケジュールを立てているのでしょうか。
無意識にやっているのであまり意識しないかもしれないw
ということで今回は「大量のパンを一気に焼き上げる段取り」についてまとめてみました。
パン屋になりたい訳ではないけど、たくさん焼いてみたい!という方もぜひ参考にしてみてください。
このレジュメで分かる通り、『発酵』にポイントがあるようです。
その辺りをまとめつつ解説していきます。
発酵器とオーブンの紹介

それではまずは今回の主役をご紹介しましょう。
- 発酵器
- オーブン(コンベック)

発酵器


オーブン(コンベック)


どちらの機材も現在販売されています。
わたしの場合、ミニマム働くことを意識していたので発酵器は自分がもともと所有していたものにプラス。
オーブンも同じく小さめをチョイス。
パン教室で使っていたものに慣れていたのでリンナイを選びました。
- 発酵器は3台、発酵できる段としては”9段”
- オーブン1回で同時に焼けるのは最大3段
この数字がこの後ポイントになってきます。
どちらもちょっと大きめな電子レンジくらいのサイズ感。
道具を知ったところで本題に入っていきましょう。
発酵しやすい生地と長くなる生地

次に理解しておくといいのが
- 発酵しやすい生地
- 発酵時間が長くなりやすい生地
- ベーグル
- ベーコンエピ
- あんぱん
- フォカッチャ
- 塩パン など
ペタンコにする生地が多いなという印象です。
中でもベーグルはもともと発酵時間自体が短めでオッケー。
夏は常温で発酵しても十分発酵します。
一気に成形をしてしまうとどんどん発酵されて焼きたいタイミングで焼けなくなるリスクがあります。
例えば真夏のベーグル作りでは注意が必要です。

暖かい季節にベーグルをたくさん焼くときは
- 発酵器に入れて短く発酵させる
- 常温で少し時間長めにとる
- 時間差を意識して遅めに成形を始める
など時間差発酵を意識し一気に発酵させないようにしましょう。

同じくベーコンエピも発酵時間短めの生地。
発酵させすぎるとハードさがなくなってしまうので普段は38℃45分くらいで発酵器から引き上げて、焼成までの焼き時間は常温で表面を乾燥させながら待ちます。
塩パンは発酵時間こそ1時間とりますが、それ以上長くなるとふかふかの優しい感じの塩パンが焼き上がります。
それが好みであればいいのですが、もう少し生地をしっかりさせたいのであれば発酵時間を重視して、長いこと待機させないのがポイントです。
- 牛乳を使ったパン
- 豆乳を使ったパン
- 食パン
- 丸パン(プチパン)
中でも牛乳や豆乳など水以外で仕込んだ場合は発酵が緩やかであることが多いです。
特に白パンを焼きたい場合は1時間の二次発酵だとまだ生地の裏側が冷たいことがあります。
そんな時は発酵が終わっているパンを先に焼いてもう少し長めに発酵をさせます。

食パンは生地の塊が大きいので発酵が長め。
丸パンは綺麗な丸に焼き上げるならちょっと発酵は長いほうが丸さが安定します。
もし丸ぱんとベーコンエピが同時に発酵を終えてしまうことがあるならわたしは迷わず先にベーコンエピを焼成します。
焼き上げている15分で大きく発酵が進むことがあります。
こればかりは慣れていくしかないのですが、この後紹介する発酵場所の配置などで発酵の調整を行いましょう。
発酵の場所をとるパンと発酵がコンパクトなパン

次に考えておきたいのが「発酵をするスペース」。
※ここでは大量にパンを焼きたい人向けの話なので発酵器がある前提でお話をします。
例えばわたしの場合ですが600gの粉でおおよそ8−12個のパンを焼きます。
生地自体がどっしりするタイプなので焼き上がったパンは小ぶり。
しかしどっしりゆえ、2つ食べるとなかなかのボリューム。
3つ食べると女性なら大体お腹一杯になります。
生地自体は85−90gで成形をしていきます。
発酵させるトレーに乗せるときのイメージはこんな感じ。

入れ物に入れる生地はトレー1枚でまとめることが可能。
オーブンシートに置く一般的な生地は12を因数分解して3、4、6で配置するようにしています。(2はよっぽどありません)
発酵器は3段で3台あります。つまり段の数としては9。
焼き上げる時は1種類を1回で焼き上げていくので、うまーく配置するとすごく気持ち良く回っていきます。
だんだん混乱してきましたよね。
次の項目で実際の焼き上げをまとめていきましょう。
発酵器の段を考慮して発酵させよう

では2時に起きて、6時半に焼き終わるというその「4時間半」の中身に入っていきましょう。
まずはおさらいです。
先ほど解説した発酵がスムーズなパンと具材を使うパンで発酵の順番を考えていきます。
発酵がスムーズなパンというのは
- ベーグル
- ウインナーロール
- フォカッチャ
- エピ など惣菜系が多め。
中でもベーグルは発酵が短いので焼成と他の生地の成形を同時進行。
ベーグルとエピ以外の生地は1時間の発酵時間が必要なので、焼き上げまでの間に発酵の早いベーグルとかを焼いちゃおう!という作戦。
クリームチーズ、カレー、あんぱんなど具材がある場合は焼き上げてから冷めるまで時間がかかります。
そのため焼き上げは早めに終わらせたいところ。
あんぱんは平らなので発酵が早め。
これは発酵が楽だから時間調整用にしよう、など作戦を考えます。
クリームチーズの場合は乳を含むため、作業は基本的に後回しになります。

発酵が早い生地ばかり先に成形すると焼き上げが混み合ってずれ込み、過発酵になることがあるので、3つくらい先に作業して発酵の長い生地を組み込むこともあります。
発酵の遅いパンは牛乳や豆乳を使う生地。
しろぱんなどはかなり長い時間発酵器を占領します。
これを参考に実際の焼き上げを考えていきましょう。
さて。とある日の焼き上げです。
メニューはこちら。数字は必要な段の数です。

1段で済むものもあれば、4段5段必要なパンもあります。
初めに考えておくのは
- ベーグル
- エピ ですね。
発酵時間が短いものから焼き上げることが出来ればその後どんどん流れで焼いていけます。
この日の焼き上げをまとめてみます。
発酵器をそれぞれA・B・Cとしていきます。
- Aの発酵器に抹茶ホワイトチョコベーグル 2段
- Bの発酵器にウインナーベーグル 3段
- Cの発酵器3段とAの発酵器の残り1段にきのこフォカッチャ

これで一旦全ての段が埋まります。
30分するとまずベーグルの焼き上げに入ります。
ここで段が空きますよね。
この次に開くのはBの全ての発酵器と考えると次は一気に5段ほど場所が空きそうです。
5段といえばチーズエピ。
どちらにしても一気に5段はオーブンで焼けないので2段と3段に分けて焼成していきます。

これで再び全ての段が埋まりました。
こんな感じで時間差と発酵しやすい生地を組み合わせながらどんどん焼いていく、というのが大量のパンを焼く方法。
せっかくなので残りもまとめておきましょう。
今お話ししたところまでで成形が完了しているのが
- 抹茶ホワイトチョコベーグル
- ウインナーベーグル
- きのこフォカッチャ
- チーズエピ
残り5つの生地ですね。
ベーグル2種が焼き終わる頃に、きのこフォカッチャの発酵が終わります。
一気に3段空きます。
ここで焼きカレーパン!といきたいところですが、ここからは発酵がちょっと遅いパンが出てきます。
先にいちじくのパンとナッツロールを成形してしまいましょう。
Cの発酵器にちょうどこの成形した生地がハマります。
おや?Aの発酵器の1段が空いていますね。
1段ならミニ食パンを成形しちゃいましょう。

さてこれで残りは焼きカレーパンとチョコチップメロンパンになりました。
どちらも3段ずつ必要になるので、Bに焼きカレーパン、その後Cにメロンパンを入れましょう。
メロンパンを最後にしてアレルギー対策として考えておきます。

これにて全ての生地が発酵出来ました。
この順番で進めると順番が前後しそうな部分と言えばミニ食パンの時くらいでしょうか。
まだ発酵できてないなーと思ったら先に発酵が終わっている生地を焼き上げましょう。
こんな感じで夜中の4時間半くらいが終わりまして、おおよそ100個のパンが焼き上がりました。
この後、冷ましてから袋入れをしてお客さんのお手元に届きます。
100個を超えるパンを一気に焼く場合は生地をパズルのように組み合わせていくことになります。
この作業が個人的に大好きです。
ピッタリ発酵時間が合った時の爽快感がたまらない!
今回のまとめ

今回はわたしがいつもやっている「大量のパンを一気に焼き上げる段取り」について解説しました。

なかなかのパズル感でしたね。この作業、大好きです。
こんな感じで普段からたくさんのパンを焼いています。
オーブンが大きければこんなに組み立てることもないと思いますが、ミニマムに働いているからこそ、そこで対策するのはなんか違う。
もはやその段取り自体を楽しんじゃっている自分もいます。
オーブンが1台という環境はお家でも同じような感じですよね。
発酵器こそ何台も所有されている方は少ないと思いますが、発酵させる場所を変えたりして調整すると似たような環境になります。
たくさん焼いたパンは冷凍することもできます。こちらの記事もご参考までに♪
