今回はちょこちょこ聞かれる「栄養成分表示」について。
いわゆる「カロリー表記」のお話です。
食品表示と並んで表記されることが多いものですが、”ある条件”のもとであれば省略することができます。
そしてわたしのようなちいさなパン屋は概ね省略できる人。
今回はその理由とともに、栄養表示について解説していきます。
ざっくりですが、カロリー計算を簡単にできる方法もあります。
もしご自身のパンやお菓子のカロリー計算をしたいという方は試してみてください。
食品表示のルールを知る
今回は消費者庁の資料をもとに内容をまとめていきます。
ただ毎度のことながらごちゃごちゃ書いてありますので、要点をサクッと絞ってまとめていきましょう。
ガッツリ確認したい方は下記リンクから資料をのぞいてみてください。
消費者庁 「食品の栄養成分表示制度の概要」
まずは「食品表示」について改めてまとめていきましょう。
今回はアレルギーについての話は割愛します。
現在、食品表示については『食品表示法』というものが施行されています。
この法律。元々は3つに分かれていました。
こちらの図をご覧ください。
ちょっと見づらいとは思うのですが、かぶっている項目がかなりありますよね。
健康増進法に至ってはほぼかぶってます。
それなら1つにまとめちゃわない?とまとめた法律が「食品表示法」。
食品表示法の概要もまとめておきましょう。
要するに「食品を選ぶときに安心して選ぶための決まり」みたいなものです。
新たな食品表示基準のポイントもいくつかあります。
このうち、今回のテーマにしているのが「栄養成分表示」の部分。
次の項目で紐解いていきましょう。
栄養成分表示について
食品表示法では容器包装に入れられた加工食品には「栄養成分表示」として、5つの項目を必ず表示する必要があります。
- 熱量
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- ナトリウム(食品相当量で表示)
この5項目の理由は2つ。
- 生命維持活動に不可欠である成分
- 日本人に多い生活習慣病に関わっている
この栄養成分をみて「上手に食品を選び、必要な栄養素を過不足なく摂取できれば健康の維持・増進を図ることに役立つ」とのことで表示が義務付けられています。
ここで栄養成分表示のルールも知っておきましょう。
こちらは消費者庁の資料からの引用です。
表示といってもすべてを事細かにというわけではなく、
- 必ず表示するもの
- 表示した方がいいもの
- できたら表示してほしいもの
の3つに分けられます。
なお「義務表示」は5つとお伝えしましたが、この表示だけは順番が決まっています。
熱量(エネルギー)→たんぱく質→脂質→炭水化物→ナトリウムの順番になります。普段から購入している食品を見てみるとこれらの順で記載されているかと思います。
また表示する値は「一定の値」または「下限値および上限値」で表示します。
これはどういうことかというと「食品はひとつひとつ違うから絶対コレ!とはいえないよね」みたいな感じで、ある程度の幅はもたせていいよということ。
難しく書いてありますが、物事に「確実」はありませんから、食品でも「まぁざっくりこのくらい」で出してちょうだいというわけ。
もしこの表示された「一定の値」が許容差の範囲を超える可能性がある場合は、合理的な推定により得られた値として『推定値』と表記する必要があります。
ときどき表示で『推定値』と書いてあるものがありますが、これはそういう理由があったんですね。
この”食品表示基準で定められた方法”ってなんやねんって話ですが、食品成分表という名前で書籍として販売されているもの計算すれば問題ありません。
そういえば医療の勉強をしているときにこの成分表を使って糖尿病患者さんに指導をしていました。
こんなところで再会するとはw
ここではあまり難しく考えず「栄養成分表示というものがあるんだな」くらいで考えておいてください。理由は後述します。
栄養表示を省略できる人とは
さて。ここまでお話ししていると眠くなってくる人と「ねぇ、これ全員やらないといけないの?」と妙に不安を覚える人が出てくるかと思いますw
全員やらないといけないの?の問いに対しての答えは”ノー”。
原則として、すべての加工食品に栄養成分表示が義務付けられています。
ただし以下に該当する食品は表示を省略することができます。
ポイントは一番最後ですが、その前の部分を先に補足しておきますね。
「栄養の供給源として寄与の程度が小さいもの」は例えば コーヒー豆・ハーブ・茶葉などやその抽出物、スパイスなどを指します。
「極めて短い期間で原材料やその配合割合が変更されるもの」は例えば日替わり弁当のように3日以内にレシピが変更されるものを指します。これはサイクルメニューは除きます。
「販売しないもの」はサンプル品やプレゼントなど。
「食品を製造・加工した場所で販売するもの」は製造所と販売所が一緒の店舗、店内加工の場合などです。
話を戻しましょう。先ほどの条件の最後の部分。
「消費税法において消費税を納める義務が免除される事業者または中小企業基本法に規定する小規模企業者が販売するもの」
これは小規模事業者を指します。
そして『小規模事業者』は栄養成分表示は義務付けられていません。
「小規模事業者」とは”課税売上高が1000万円以下または従業員20人以下(輸入業・販売業の場合5人以下)”の事業のこと。 つまりはわたしのようなちいさなパン屋はこちらに該当しますよね。
ただし注意が必要な部分があります。
小規模事業者が製造を担当し、小規模事業者ではない事業者(例えばスーパーなど)から消費者に販売する場合。この場合は栄養成分表示が必要になります。
スーパーや百貨店の催事、道の駅などに卸す場合が上記に当てはまります。
これは覚えておきましょう。
……とはいえ、お店に卸しているすべてのお店がそうしているかというとそうでもないのが実情です。
この項目でのポイントは『ちいさなパン屋は栄養成分表示の義務はありません』。これです。
ホッとしました?w
でも『大きなお店に卸すなら本当は必要なんだよ』ってこと。知っているとそうでないではだいぶ変わりますので、ここで覚えておきましょう。
カロリー計算はどうやるの?
ここまでで、ちいさなお店は栄養成分表示は省略可能であるとわかりました。
でもときどき聞かれませんか?
パンのカロリーってわかりますか?
レコーディングダイエットという言葉が流行りましたが、健康維持のためにカロリー管理されている方はとても多いです。
なので、聞かれたら答えられるといいですよね。
実は最近わたしも食べたものを記録しております。というのも、30代も後半。
そろそろ健康を意識しないとなと思いましてね。
そこでこちらのアプリを使い始めました。
このアプリはいわゆる「食生活管理&改善のためのアプリ」。
- 食事記録
- 体重管理
- 運動記録
などを入力していくものです。
中でもご自身で料理をし、そのおおよそのカロリーを知りたいときに使えるのが「MY レシピ」という機能。
こちら有料のサービスになるのですが、なかなか便利な機能。
自分で作った料理などの材料を入力するとざっくりしたカロリーが出せるんです。
例えば「ウインナーロール」と検索してみましょう。
するとこんな感じでざっくり1個あたりの材料が出てきます。
わたしの場合であれば、生地に卵やバターは使いません。なので不要な材料は消していきます。効率を重視するタイプですので、わざわざひとつずつ計算はしません。
「基本の生地」と「フィリング」で別で計算をしていきます。
いくつか持ち生地があれば登録しておくのがいいかなと。
先ほどのウインナーロールであれば、レシピの分量をざっくりと入れると188kcal。
そこにウインナーを足したらほぼカロリー計算できますよね。
試しにシャウエッセンでも入れてみましょうか。
すると1袋あたりで出てしまうので、これは1本なら中に入っている本数で割っておきましょう。
ウインナーであればおそらくカロリー表示がされていますから、それを本数で割ると1本分が出てきます。それを入れたらオッケー。
シャウエッセンなら1袋で380kcal。6本入りと考えたら1本あたり63kcal。
生地の188kcalと足すと251kcal。おおよそ250kcalくらいが自分の焼いたパンのエネルギーになる。みたいな。
ものすごーく細かい部分までは算出できませんが、ひとつの参考としてこういった計算ができるよーと覚えておきましょう。
他にも栄養計算のアプリはたくさんありますので、一度「基本の生地」のエネルギーなどを出しておくと聞かれたときもそうですが、自分の健康管理にもいいかもしれません。
今回のまとめ
今回は「栄養成分表示について知っておこう!」ということで、ちいさなパン屋では省略可能な栄養成分表示について解説してきました。
飲食の世界では法律がしれっと変わっていることがよーくあります。
食品衛生の講習会でもあまり触れられない部分もあったりしますよね。
今回の内容は正直なところ、ちいさなパン屋には関係のない部分。とはいえ全く関係ないわけでもない。
特にお店に卸している場合で、そのお店が大きい場合は表示が必要というのは意外と長年やっていても知らない人もいるかもしれません。
何事も「知っておいて損はない」。
今後もそんな情報を出していきますので、一緒に学んでいきましょう!