今回は『お店をもたないパン屋はどんな活動をしているの?』ということで、これまでの出店のお話もしつつ、解説していきます。
パン屋さんだけでなく、作家さんなどにも使える内容ですのでぜひ最後までご覧ください。
YouTubeにも更新しています。聞き流せるようにもしています。ぜひご活用ください。
お店をもたないパン屋の活動
お店をもたないパン屋の活動。
パン屋も“作り手“なのである意味”作家”です。
作家さんが販売する場といえばこの4つが主流。
そう。パン屋も活動の場としては作家さんと同じです。
“パン屋さん“として構えているのであればメインが「お店」。
加えて時々イベントに出店、というのが多いのではないでしょうか。
わたしの場合は初めから“イベント出店“を軸に工房の構成を考えていました。
月に数回イベントに出店したり、お店の一角をお借りして販売。
時々委託販売や幼稚園のバザーなどに呼んでいただき販売。
イベントの主催もしていたので主催として参加するイベントは“出店者兼スタッフ“として過ごし、パンを焼く日以外にはイベント準備などの活動をしていました。
「販売の間口を全国にできたらいいな」と思い、仲間とオンラインショップをオープン。
これが告知が想像以上に難しく、しばらくの間は小康状態。
「個人での告知が難しいならショッピング系のサイトで販売してみよう」とminneとCreemaに登録、通販を少しずつ軌道に乗せていきました。
現在は通販が活動の9割となっており、minne、Creemaに加えオンラインショップも運営しています。
活動する上で大切にしていること
パンを含めた自分の活動のテーマは「主婦、ときどきパン屋」。
“家族との時間を大切にするために自由に働きたいな。“
“自分の特技や趣味が仕事になればいいな。“
そんな軽ーい気持ちで始めました。
お店をもたないという選択をし工房を作り、イベント出店を主に活動していた頃。
当時は勢いで毎週のように出店していました。
ある日、家族との時間が取れていないことに気づく。
「おかしいな、家族の時間を取るためにこの働き方にしたはずなのに…」と違和感を感じ、少しずつ活動の内容を見直していきました。
活動を見直す中で“自宅“をベースに活動できないかを模索し、通販にたどり着きました。
現在は『平日に焼き上げ、土日は基本的にお休み、家族に合わせて長期連休』というスタイルで落ち着いています。
いろんな働き方を考えよう
さてさて働き方がざっくりわかったところで、ここからはそれぞれの販売の特徴をまとめていきます。
どれがいい、どれが悪いとかではなくそれぞれを組み合わせて自分の理想とする働き方にする、そんな一つのヒントになればいいなと思います。
せっかくなので表にしてみました。
一つずつ解説していきます。
イベント出店
販売方法
用意した商品をイベント開催地まで持っていき、その場で陳列・販売する。
各地で開催されているイベントや幼稚園等でのバザーなど規模は様々。
天候や情勢に左右されやすく、最近ではコロナの影響により1年以上多くのイベントが開催延期や中止になった。
- 販売する日が事前に決まっている
- お客さんと直接会話できる
- 新規顧客との出会いが期待できる
- 売上がそれなりになる
- 日にちが限定される
- 天候に左右される
- イベント当日は終日活動する
- イベントが被ると片方しか出られない
- 食材ロスのリスクがある
イベントはとにかく天候命。9月ごろは台風と睨めっこ。冬は大雪でソワソワ。
直前の中止は飲食にとってはかなりの損益になる。連日の出店は体力勝負でもあります。
イベント出店のいいところは「新しいお客さんとの出会いがある」こと。
直接会話も出来るし、自分の商品目当てに来てくださる方がいたりするととっても嬉しいです。
定期販売
販売方法としてはイベントに近い位置付けとなり、お店の一角など場所を借りて販売をするスタイル。飲食だと車で移動販売することも。
イベントほど集客は見込めないけれど、拠点にもなりえる販売方法。
- 日にちを固定できるため宣伝しやすい
- 活動拠点が出来る
- 自分で販売するため1日出動することになる
- 店舗を借りる場合、打ち切りになることもある
- 食材ロスのリスクがある
定期販売はイベントほど商品を用意することはありません。
規模を小さくしたり、やり方はいろいろ。
少し広い会場であればときどき出店者仲間を募って小さなマルシェにしたり、規模を操ることも出来ます。ただし、場所が借りれなくなるというリスクはずっとつきまとうのが最大のデメリットです。
また場所によっては集客しにくかったりすることもあるので、拠点として考えるのであれば駐車場や規模など総合的に判断すると良いかなと思います。
イベント出店よりもまったり過ごして会話を楽しむ販売方法。
委託販売
販売方法としては通販に近い位置付けとなり。当日商品を運搬しお店などに預けるスタイル。定期的に納品することもあります。
単発だと講習会などで参加者に配ったり、など大口になることも多い。
- 当日焼いて渡して終了
- 体力的にはイベント出店がないため楽
- 新しい場所やお客さんの開拓ができる
- 数が決まっているのでロスは少ない
- 契約が打ち切られることがある
- 単発になることが多い
- 日程が拘束される
委託販売の大きいところはなんと言っても「商品を預けることが出来る」こと。その後の時間は他の作業ができるということです。
ただし、お店などと契約している場合は契約を打ち切られることもあるので必ずしも安泰ではないのは現実として理解しておきましょう。
イベントの粗品として配布したい、などの依頼も多い。単発なことがほとんど。
出来れば何かしらの拠点なり、柱がある上でのサブとして考えた方がいいかなと思います。
オンラインショップ
ネットでの販売方法。
自分でショッピングサイトを開設したり、ショッピングモール型のサイトに登録して商品を販売します。
自分のペースで販売をすることが可能な反面、受け身の宣伝スタイルのため発信力が大切になります。複数のショップを登録して自分に合う拠点が見つかると大きいです。
- 受注生産ができ、ロスが少ない
- 自分のペースで焼くことが出来る
- 天候に左右されない(災害などは除く)
- 販売対象が全国
- 送料や手数料負担がある
- 梱包材を用意する手間と金銭面での負担がある
- 受身なので注文が入らないことも多々ある
ショッピングモール的なサイト(minneやCreema)などは手数料が高い反面、宣伝力があるので宣伝の一環として登録しておくと良い。
コロナの影響で一気にECサイトが拡大し、販売がしやすくなりました。
最大のデメリットは負担するお金のぶぶん。手数料はほぼ確実に負担になるため、利益とのバランスを取るのが大切。公式LINEなどに誘導し、違う販売経路を作ることも一つの方法です。
ある程度お客さんがつくとかなり安定感が実感できます。
以上、個人的に感じた販売経路にまとめてみました。
パン屋としての活動に関して言えば、イベント当日は夜中から作業をします。
出店の日の2時起きは普通なこと。
頑張って焼いたのに大雨でお客さんが少なく、売れ残った時は本当に悲しいです笑”
街中のパン屋さんはこれが毎日。本当にすごいなと思います。
こうやって考えてみるとパン屋も作家さんと同じように活動をしている感じ。
決定的に違うことは「在庫保管が出来ない」こと。
アクセサリーは腐りませんが、食べ物は腐ります。
だからこそ、販売するときの数は多め。当日勝負。
薄利多売になりがちなのは飲食ならではかもしれません。
でもイベント当日のあのワチャワチャした感じは実は楽しい。
お買い物をしたり、出店者同士の会話も発見があったりして楽しいです。
それがイベント出店をやめられない理由だったりします。
今回のまとめ
今回は「お店をもたないパン屋の活動」についてお話しました。
何年か定期的にイベント出店をしていましたが、昨年区切りをつけて通販にほぼ移行しました。
やってみたかったことなので、一つの経験だと思っています。
イベント出店で感じた現場の生の声も貴重だし、お客さんとの会話もとても貴重なもの。
これまでたくさん経験が出来たのは周りに恵まれていたからだと思います。
お店をもたないというのは固定費などの面で言えばリスクとしては小さいですが、活動の場に安定感はないためリスキーな働き方でもあります。
これもまた「主婦」という基盤があるからこそ出来る働き方なのかもしれません。
この活動を支えてくれる家族には感謝してもしきれないですね。
これからも適度に環境に甘えながら、自分のやりたいことを続けてみたいと思います。