先日、こんな記事を見かけました。
「町のパン屋激戦時代ーーコスト上昇でどう生き残る?(Yahoo!記事)」
近年、パン屋の倒産が相次いでいるとのこと。
そういえば家の周りの高級食パンのお店はずいぶん減りました。
せっかくパン屋をはじめても、売れなければお店を維持できません。
今回はそんな現状を考えつつ、パン屋に出来る複業を考えてみようと思います。
ぜひご自身のはたらき方を振り返りつつ、取り入れていただければ幸いです。
パン屋の現状を考える
先ほどの記事からパン屋の現状を考えてみましょう。
この十数年、パン屋の多様化が進んでいます。
- ベーグル専門店
- サンドイッチ専門店
- 高級食パン専門店
- クロワッサン専門店
パンはパンでも1つの分野に絞って差別化を図る。
そんなお店もあれば、まんべんなく商品を取り扱うお店も。
総務省の家計調査によるとこの10年でパンの支出金額も増え続けているそう。
2010年に比べて2020年は12%近く上昇。また国内パン市場の市場規模は現在も微増中で、2026年度には1兆6000億円規模になるとか。
その一方でパン屋の倒産も相次いでいます。
記事によると2023年度のパン屋の倒産(負債1000万円以上)は過去最多の37件。前年度比85%増。内訳をみると従業員5人未満の小規模店が8割。原因は円安による光熱費、原材料費の高騰です。
こう考えるとわたしのような1人運営のパン屋も決して他人事ではありませんよね。
実際、仕入れ値は上がりました。価格は同じでも量が少なくなっていることも。
ヤマトの送料もクール便代が上がりましたし、移動のためのガソリンも上がりました。
正直「キツイなー」とどこのお店も思っているのではないでしょうか。
この状況に対してできることを考えてみました。
また自分のお店がどの位置にあるかを改めて考える。
- たまにのご褒美でリッチに
- ちょっと背伸びして買いたい
- 毎日食べたいパンでありたい
大きく分けると3つくらいでしょうか。
その上でこれからどうするかを考えてみましょう。
値上げのタイミング
記事の中には一人運営のパン屋さんの話も出ていました。
完売したらお店を閉めるスタイル。
人気のパン屋さんだそうですが、オーガニックチョコの値上げなどが直撃。
やむなく商品自体の値上げに踏み切ったそう。
値上げのタイミング。これがまた難しい。
値下げは簡単。値上げは超大変。
何度も値上げするわけにもいきません。一度値上げしたら年単位で維持し、それでも難しければ再度値上げに踏み切る。
値上げの幅も結構考えものです。
例えば300円のパンを330円に値上げすると値上げ幅としては10%。
10%ってなかなかのパンチ力…!
わたしが考える値上げのタイミングは3つ。
一番取り入れやすいのが最後の「キリがいいとき」。値上げ幅は10%が限度かなと感じます。
個人的にはしばらく様子をみて、半年から1年経ったくらいで判断しています。現状、まだしばらくは維持でいけそうです。
またパン屋ならではの悩みもあります。
それは「体力」の問題。
300-350個を焼くとなるとイベント出店で経験がありますが、夜中の2時近くからの作業となります。
記事の方の場合、金土日が営業日。つまり週のうち3日連続で夜中の作業。
なかなか辛いですね。
ただ、これを営業日を減らすとどうなるか。
「売上が減少する」んです。
この方の場合、単価300円のパンを300個販売。ざっと計算すると一日9万円の売上となります。単純計算で週3+4週間=100万円。
試しに週2に減らしてみると、9万円が4回分減るわけですから売り上げとしては20-25%減少。
ここで大きく関係してくるのは、どうはたらきたいか。
それは人それぞれですが、身体を壊してからでは遅い。
”やり方を変える、違うことに挑戦する”
次の項目ではその部分に焦点を当てていきましょう。
パン屋の複業を考える
今回のテーマは「複業」。副業ではなく「複業」とした理由は”好きなことに順序はなくて、全部大切”だから。サブという考え方ではありません。
ここではパン屋ができそうな複業を考えてみましょう。
店舗運営とイベント出店をベースに活動している場合を想定します。
上2つはパンをお客さんにお届けするもの。
下2つは自分の持っているノウハウを発信。
例えばオンラインでパン教室を開催したり、自分の普段の様子を撮影して配信したり。それだけでなく、noteなどにアップしてもいいかもしれません。
ただし、マネタイズにつながることが大切。単に記事を書くだけでは収益にはつながりません。
即効性があるのは上2つ。
特にオンラインショップは夜中から起きなくても発送できるのはどちらにしても日中ですし、もし冷凍で発送するなら時間がかかります。
体力面もずいぶん楽になると思います。
ある程度の人気店であれば最初の導入こそ大変ですが、リピーターさんが早めにつくことも考えられます。
発信活動になると苦手な方もいるかもしれませんが、今ではいろいろなサービスがあります。
ブログを書きたいならnoteなら収益化できます。
レッスンしたいならココナラがあります。
YouTubeは…なかなか大変ですので、やるなら気合いを入れたほうがいいかなとw
と、こんな感じでパン屋なんだけどパンを売らないでパンを広める方法も今はありますので頭の片隅に置いておいてください。
大切なものだからこそ
現在、わたしはパン屋の縮小をしています。
これまでは毎週パンセットを販売していました。この1年ほどは福袋的なセットのみの販売。
週替わりのメニューは更新していますが、表立っての宣伝はずいぶんと控えています。
わたし自身ふわっとパン屋になったこともあり、いろいろやりたいことがあるのが本音。
その中には「どこでもできる仕事を見つけたい」があります。
それまではそこまで現実味がなかったのですが、夫の海外赴任が決まったころから急に現実的に。
ただ理由はそれだけではありません。
端的に『体力的にキツくなるだろう』と思ったから。
正直、パン屋は体力勝負。実は睡眠が削られることが何よりも苦手。
だから余計に先を考えて動いていました。きっと同じように「ちょっと辛いなー」と思っている方も多いかと。
体力的なことを考えたとき、真っ先に取り入れられるのは「焼く数を調整する」こと。
その次が「販売日を減らすこと」。
パン屋にとってインフレはもちろん敵。でも体感では体力的なことの方がグッときます。
だからこそ複業を考える。
自分にとって一番大切なもの…それは「自分」です。確かにお客さんが喜んでくれることも大切です。
でも自分の身体を壊してまでやることでしょうか?
人により限界も違いますので、少しずつ調整してベストバランスを見つけていきましょう。
今回のまとめ
今回は「ちいさなパン屋の複業を考える」ということで、昨今のパン屋の現状からパンつながりでできそうなことをいくつかご紹介しました。
わたし自身、ものすごい勢いで駆け抜けているようによく思われます。でも実際は全然そんなこともなく、ゆったりしている。
そう思われる理由を考えてみると、SNSなどをうまく利用して「忙しいんです」アピールをするのが得意なのかもしれません。
本人は全く意識していないのですが「忙しそうだから、お茶誘えなくて」はよく言われます。そんなときは少しさみしい反面、告知がうまくいっているのがうれしかったり。
なんにせよ、一人運営のパン屋は孤独です。ときどき休んで、人と話してリフレッシュも必要。
休むことは勇気がいりますが、余白を開けないと必要なものは入ってきません。
少しずつ余白を増やす工夫をしてみてくださいね。