記事もだいぶ増えてきたので今回は復習編です。
この記事では主に「パン屋さんになるために必要なこと」にフォーカスしてサクッとまとめていきます。
菓子製造業許可で共通しているので、お菓子屋さんやケーキ屋さんを考えている方も使える内容です。
ではサクっと10項目、お話ししていきましょう!
1.パン屋さんになるために必要なものは?
大きく分けて「工房のための申請」と「開業するときの申請」があります。
- 営業許可を取得した工房
- 食品衛生責任者の資格
飲食の営業許可では「飲食店営業許可」と「菓子製造業許可」があります。
「飲食店営業許可」はカフェやレストランなどその場で調理して、その場でお客さんが食べる場合の施設に対して。
「菓子製造許可」はパン屋やケーキ屋などテイクアウトを主とする施設向け。
法改正で軽食であれば菓子製造業許可でも提供が出来るようになりました。
イベントで調理をする場合は露天営業許可など違う許可が必要になります。
この辺りを混在している方がとても多いです。
突っ込まれてからでは対応も大変になるので事前に確認をしておきましょう。
工房の許可などに関してはいくつか記事を分けています。
開業するときの申請では「開業届」が必要になります。
開業届を出す時には”青色申告にするかどうか”ということを選択します。
基本は選択するようにして、帳簿付けも行っていきましょう。
ちょくちょく聞かれるのが『開業届を出したら扶養から外れちゃうの?』ということ。
この部分に関しては旦那さんの勤め先の会社により異なります。
こちらも事前に確認しておきましょう。
2.食品営業許可はどう取るの?
施設の許可を得るためにはいくつかの工程を通ります。
所要期間は工事などがあれば数ヶ月かかります。
申請後、審査を受けて通れば仮の許可証がもらえますので製造・販売が出来るようになります。
- 保健所に図面を持って相談に行く
- 工房の工事等
- 菓子製造業許可の申請
- 施設の審査を受ける
- 営業許可証の交付
許可を得るためには「食品衛生責任者」の資格を持った人が必要になります。
1人で営む場合はもちろんご自身が食品衛生責任者になる必要があります。
特に試験などはなく、講習会を受けて取得できます。ご安心を。
レンタルキッチンを借りて焼く場合も食品を扱うことの基礎を知るのに内容としてはちょうどいいものになるので取得しておくといいかなと思います。
年に数回開催されていますので、お住まいの自治体で調べてみてください。
許可を取った後、開業届を出していない場合は提出します。
許可は最長6年。トイレの手洗いの有無などで年数が変わります。
許可の期限前に案内が来ますので、案内に従って検査を受けて更新します。
そこまで身構える必要はありませんが、しまうものはしまっておいたり、HACCPの記録など提示できるようにはしておきましょう。
HACCPについてはこちらの記事をご参考ください。
3.パンを販売するのにいるものは?
パン(お菓子)を販売するために必要なものはこちら。
- 許可をとった厨房(工房)
- オーブンや発酵器、冷蔵庫などの機械
- 原材料を記載するラベルプリンターなど
- 出店する場合はタープや机など
- 通販の場合は販売するサイトなど
- 食べ物のアレルギーに関する知識
盲点なのがラベルプリンター。
わたし自身はパソコンでずっと作成していたのですが、感熱式のラベルプリンターを購入したら作業効率が格段にアップ!
これはもっと早く購入しておけばよかった…。
アレルギーに関してはカッコで(小麦を含む)と記載すると親切。
そうでなくてもアレルギーの知識は頭に入れておきましょう。
わたし自身が卵アレルギーがあるのでよーく分かるのですが、「分からなくて…」と言われると一気に怖くなります。
命に関わることもありますので、食品を扱うものとして理解はしておきましょう。
こちらの記事でも解説しています。
4.毎年やることはある?
許可は取得して終わりではありません。
- 検便の提出(2回)
- 食品衛生講習会の受講(夏)
- 確定申告
検便は年に2回。
試験検査項目は「赤痢・サルモネラ」を保菌していないかを確認します。
わたしの住む地域では6月と11月に提出することが多いです。
いくつか日時が指定されているので、そのどこかで提出します。
提出したら「衛生手帳」にスタンプを押してもらいます。
年に2回受けていますという印になります。
検便提出用のスピッツは1年の期限ですので、大量に購入しても期限切れになっていたら検査が無効になってしまいます。
提出と同じタイミングで次回のスピッツを購入するようにしましょう。
これね、便秘の人は本当に大変だと思うw
前日はお腹のマッサージしたり、検便の少し前からお水を意識して飲んでおきましょう。
便秘じゃなくても『検便か』と思うと何故か緊張してしまいます。
…汚い話になりましたね、失礼しましたw
検便の他には夏に食品衛生責任者の講習会を受講します。
夏は食中毒に注意する季節。
毎年夏を迎える前に講習会がありますので、受講して受講証をもらいましょう。
特に費用等はかかりません。
時間は2時間くらいでしょうか。正直睡魔との戦いですw
2022年の内容は記事にもしています。
特に今年は法改正があった関係で多くの時間が割かれていました。
確定申告については開業届を出している場合は基本必要になります。
ちょこちょことレシートの整理をしたり、帳簿をつけていったりして2月3月に焦らないように計画的に進めましょう。
5.パン屋は独学でもなれる?
パン屋さんやお菓子屋さんは食品衛生責任者の資格があればなれます。
もちろんどこかで修行をしていたり、専門学校などを卒業していれば調理師や製菓衛生師の資格を持っていると思いますのでなれます。
が、極論誰でもなれます。
資格よりも施設を作る方がお金や場所で苦戦するのかなと。
わたしの場合は全く別分野を学んでいましたが、ひょんな流れからパン屋さんになりました。
工房は自宅横のイナバの物置を改装。
通勤時間は数秒。
嫁入り先だし、敷地内同居しているし、もともと農具小屋として使われていたのに改装を受け入れてくれました。
感謝してもしきれない。
本当に恵まれた環境だなと常々思っています。
6.仕入れはどう行なっている?
食べ物を製造するということは仕入れが必要になりますよね。
わたしは「富澤商店」と「近所のスーパー」で主に仕入れています。
富澤商店では卸の契約や定期購入などもありますが、そこまで大量に焼くわけでもないし、長期連休なども積極的に取るので通常購入で仕入れを行っています。
楽天リーベイツを経由すると富澤商店をお買い物も楽天ポイントが貯まります。
詳しくはこちらからどうぞ。
小麦粉は楽天で見つけた業者さんで購入。
25kg単位で仕入れます。
毎月1日のポイント3倍デーやクーポン発行を狙って仕入れますw
大きいですよー。
1000円以上違うこともありますから。
調味料は地元の身体に優しい調味料を業務用サイズで購入。
野菜などは近所のスーパーで無農薬のものを中心に選びます。
特に小麦粉は虫が湧くことがあるので長期保管は温度管理に注意!
工房は基本的に夏の間はクーラーを入れるようにしています。
その他、オーブンシートやパンの袋は楽天を利用してポイントの恩恵も受けつつ仕入れます。
7.パン屋で注意することは?
パン屋さんを運営するにあたって注意することは
- アレルギーに関する知識は学んでおく
- 異物が混入しないような対策をとる
- 賞味期限切れがないように計算して仕入れる
- 体調は常に整え、無理をしないスケジュール管理をする
アレルギーについては先ほどお話ししましたが、一番気をつけたいのが『異物混入』。
髪の毛やホコリはもちろんですが、手の傷があったりしてパカッと傷口が開いて出血したら大変。
個人的にはもともと医療系にいたこともあり、そういうことには人一倍敏感になので常に手袋を着用しています。
手袋は食品を触るのに適応したものを選びましょう。
ニトリル手袋はフィット感もあって作業しやすいです。
消耗品になるのでまとめ買い推奨。
サイズがいくつかあるのでぴったりのものを選ぶようにしましょう。
わたしは製造する手袋は毎日新しいものに交換しますが、使い終わってからは洗って残しておいて掃除などで使ってから捨てるようにしています。
手荒れ防止にもなるので手袋着用は一石二鳥です。
異物混入とは少し話が違いますが、アレルギー対策としては成形する順番にも気を遣っています。
アレルギーは卵→乳→小麦の順で多く、症状も重篤になります。
なので唯一卵を使うメロンパンは一番最後。
しろぱんもなるべく後で作業します。
少しでも混入を抑えるための工夫はするようにしましょう。
人の身体って本当に不思議です。ちょっとでも反応する時は反応します。
意識して順番を決めるようにしましょう。
8.パン屋さんで大変なことは?
パン屋さんで大変なことといえば「早起き」。
イベントの日は夜中の12時だったり、2時だったり。
そのまま準備して、会場に行って設営して、15時にイベントが終わって帰宅して。
途中はアドレナリンが湧き出ているからいいのですが、終わってからはもう眠くて眠くて仕方ありません。
イベント前日は運動会の前日のような感じ。
寝たくても寝られないあの感じになります。
いかにいつも通り過ごせるかがポイントです。
8年近くパン屋をしていますが、早起き以外で大変なことはあまり感じないかもです。
確かに値上げの嵐で仕入れは辛いし、インフレの影響などで売り上げにも影響はしてきますが、好きなことを仕事にしていることに変わりはない。
幸せなことだなーと常に思っています。
9.菓子製造業許可で販売可能なものは?
飲食店営業許可と菓子製造業許可の違いは「その場で調理して食べる仕様になっているかどうか」。
”食事”にカウントされるものはダメ、”おやつ”にカウントされるものはオッケー。
パンでいえば「チョコサンド」はいいけれど「カツサンド」はご飯になるからダメ。
正直グレーゾーンの塊な気がします。
販売したいものがあって、自分で判断に困る場合は管轄の保健所に聞いてみましょう。
その時特に名乗る必要はありません。
「こんなものを販売したいのですが、これは菓子製造業許可ですか?」と聞けば教えてくれます。
ちなみにですが、
- 封がしっかりしまっていればジュースなどの販売は可能
- その場でジュースを入れる場合は露天許可
- 酵素ジュースなどは衛生上とても微妙
コーヒーを提供したい場合、
- カフェカーがあればカフェカーの許可を
- タープ内で調理があるなら露天営業許可を
こんな感じですごく曖昧なので、パンやお菓子と並行して何かを販売するなら問い合わせしてみるのが賢明です。
モヤモヤした状態で販売するよりもしっかり確認しておけば安心ですよね。
10.許可を持ってなくても販売する方法はある?
最後のQ&Aは「許可がない場合、どうしたらいいか」。
これから継続して販売を行っていきたい場合、基本的には自分の厨房を持つことをオススメします。
レンタルキッチンもありますが、レンタル料や予約が取れないなどの煩わしさを考えるとずっと借り続けるというのも難しい。
また”知り合いからの名前貸し”は難しいことも頭に入れておきましょう。
一時的なレンタル料の利益よりも何かあってからのリスクの方が遥かに大きいのです。
「あなたの工房で作られたケーキで食中毒が発生しました。そのためしばらくの期間営業停止となります。」なんて言われたら悲しすぎます。(というか超迷惑。)
初めの数回はお試しとしてレンタルキッチンを借りる。
自分に出来そうだな、やっていきたいなと思ったら『自分の工房を持つ』というのが自然な流れかなと思います。
もしまだ許可がない。でもイベントに出店してみたいということであればレンタルキッチンとして貸し出しているところを選ぶようにしましょう。
その場合、考えておきたいことは
- 家からの移動時間
- レンタルする時間と費用
- イベント当日に焼くなら段取り
やってみて「あかん、大変だ」と思えば調整が必要だし、「出来そうだな」と思ったら長期目標を作ってみましょう。
”親しき中にも礼儀あり”という言葉があるように「あの人なら借りれそうだから借りちゃおう」みたいな考えは一方的です。
断る側としては断ることが申し訳ないので、そこはサービスとして提供している場所を見つけて利用しましょう。
今回のまとめ
今回は「パン屋さんになりたい人向けのサクッとQ&A」ということでこれまでの記事をご紹介しつつ、概要をサクッとまとめていきました。
いつもならここで内容をまとめていますが、今回まとめは省略します。
またサクッとシリーズになりそうなくらい記事が増えたら通販編、イベント編と続編を更新していきます。