今回は「パン屋に欠かせない消耗品10選」。わたしのオススメ消耗品をご紹介します。
パン屋はフロー型のビジネス。商品を仕入れ、加工するまでの間にお客さんの手元には届かない消耗品が数多くあります。
目立たないけれどなくてはならないもの。それが「消耗品」です。ちいさくはたらくからこその仕入れのこだわりもありますので、参考にしてみてください。
仕入れのタイミングについて

消耗品を紹介する前に「仕入れ」について考えていきましょう。

「仕入れ」とは商品・材料などを購入・調達すること。仕入れた商品や材料は利益を乗せて販売したり、加工して別の商品として販売をしていきます。
パンの場合は小麦粉等の原材料を仕入れ、パンに加工して販売するという商売(フロー型ビジネス)ですね。
このときパンをそのままお客さんに渡すことはありません。基本的には袋などに入れてお渡しします。他にも商品を加工する際に生じる消耗品がありますよね。オーブンシートや洗剤などでしょうか。
それらもお客さんの手元には届かないけれど、商売するために必要不可欠なもの。削減するにしても限度があります。それにわたしのように一人運営のちいさなお店の場合、仕入れの単位としてはそれほど多くありません。だからこそ甘くはみれないんです。
パン屋と一口にいってもはたらき方はいろいろ。
- 週5営業のガッツリパン屋さん
- 土日のイベント出店メインのパン屋さん
- 週1営業のちいさなパン屋さん
- ネットショップメインのパン屋さん
そうなると仕入れの方法も多種多様になるわけで。
例えばわたしの今の仕入れリズムはこんな感じ。

安くなるからといって大量に仕入れたとしても、食材はナマモノですから消費できなければロス。なので食材の仕入れは慎重に行なう必要があります。
代わりに消耗品に関しては腐らないのでまとめ買いをしたり、セールを利用します。
パン屋の消耗品もね、結構あるんですよ。し・か・も、チリも積もれば山となる。お金もかかるし、保管場所も必要なのです。
ここで大切なのが活動に合わせた仕入れリズムを見つけること。一気にドン!ドン!とかかると予定が崩れることもありますから。
ネットで購入すると履歴がついてある程度の仕入れリズムが読めますので、一度把握してみてもいいでしょう。
ここからは消耗品をそれぞれ紹介していきます。一度覗いてみて、使えそうだなと思ったら取り入れてみてください。
ニトリル手袋

パンは食品。おにぎりなどは素手で握ると美味しいと言われますが、なんとなく気持ち的には手袋を使いたいところ。
わたしが普段パンの製造で必ず使っているのが「ニトリル手袋」です。

ニトリルゴムという石油系合成ゴムでできている手袋。天然ゴムや塩化ビニル手袋に比べて熱に強く、耐久性もあります。伸縮性もあり、指先にフィットしやすいく食品加工工場でも使われています。
ニトリル手袋を選ぶときのポイントは「色」と「サイズ」。
何色かあるのをご存知でしょうか? 白・黒・青をよく見かけますよね。
食品を扱う際はぜひ青色を選んでください。
パン生地を扱う場合、白色だと破れて紛れ込んだ際に生地に馴染んでしまい、発見することが難しくなります。
黒色は手袋の汚れに気づけませんよね。食品には青色はあまり使われません。少なくともパン屋では青色の食材といっても、ブルーベリーが一番近いでしょうか。
破れたときを想定すると青色が一番気づきやすいですよね。生地に入っても目立つし、ふと手を見ても肌が見えます。
だから選ぶなら「青色」。
サイズはぴったりのものがおすすめ。ゆるゆるよりもピタッとした方が作業がしやすいです。薬局やホームセンターに行くとサンプルがあるので、ネットで購入する前にサイズを合わせてみてください。購入する際は「食品衛生法に適用」と表示があるものを選びましょう。
なお”使い捨て”なので1回使ったら捨てます。ただこれは食品を扱うときにその都度捨てるだけ。
その日使い終えたら掃除用にストックしておきましょう。ピッタリサイズだからこそ大掃除のときストレスフリーで作業できたりします。別の用途で消費していくと手袋も報われます。きっと。
食器洗い用スポンジ

食器や道具を洗浄するスポンジ。いろいろと試したのですが、個人的にはダスキンのスポンジがおすすめです。
適度な硬さと裏表で素材が異なるので、洗浄するもので使い分けも可能。
100均一でも似たようなものはありますが、ダスキンを超えるものは出会ったことがありません。毎年お風呂掃除をダスキンさんに依頼するのですが、ダスキンさんはこの台所用スポンジが一軍とのこと。キッチン用品だけでなく、お風呂掃除にもめちゃめちゃ有能らしいです。
実際普段からこれでお風呂掃除していますが、確かに洗いやすい。サイズも手のひらに収まる感じで使いやすいです。
というわけで我が家ではこちらはまとめ買い。カットして洗面所用や水槽用として使うことも。なかなかへたらないのもポイント。これは買いです。
クッキングシート(オーブンシート)

焼き上げ時にオーブンシートを使うかはお店によって考えが異なるかと思いますが、わたしはオーブンシートを使う派です。
もちろん1回使ったら廃棄。そのためオーブンシートは大量に常備しています。
使い捨てなので見た目よりも量が大事。
仕入れは2本程度ならAmazon。ガッツリなら楽天の送料無料ラインを超える量(10本)で行います。
ブラウンカラー(無漂白)というのもありまして、ラッピングとして使いたい場合はアリ。ただしちょっとだけ価格が上がるので、用途を明確にして購入するのがいいかなと。
よくラッピングでワックスペーパーを使いますが、あれって本当に梱包用ですよね。
ブラウンカラーはラッピングにも使えて一石二鳥!
補充タイミングはシートが残り2本を切った頃合い。保管場所もそれなりにとるので、自分の中の基準を決めておくのもポイントです。実店舗であればシモジマがおすすめです。
配送用ダンボール

ネットショップで発送する際は箱が必要。この箱にお金をかけるかどうかはお店次第。
わたしはどちらかというと「送られてくるだけだからなんでもいい」と思う派。
しかもストックサイズが1つでは難しいですよね。たくさん購入してもらって2つに分けて届く……なんてことはありません。
なので4サイズほどを常備するようにしています。
- 60サイズ
- 80サイズ
- 大きめの80サイズ
- 100サイズ
ここにもしロゴなどのこだわりを持っていたとしたら導入するだけでエライ金額。それはそれでいいのですが、わたしはシンプル派なので普通の箱を使います。その分、お客さんに還元したいなぁと。
サイズを4種類に固定する前はもう1サイズ用意していました。それが浅型の60サイズ。
確かに少なめの注文のときはちょうどいいし、価格も一番抑えられるのですが、次第に片方しか使わなくなったため1種類に統一しました。
「大は小を兼ねる」ってことで60サイズはMAX60サイズ(A5サイズ)推奨です。
同じように80サイズを大きいものに統一してみたこともあります。が、スカスカかつ仕入れが割高になってしまうので80サイズはやむなく2種類をキープしております。
60サイズと80サイズ。最近はクール料金も上がり、無視できない金額差。
可能なら60サイズに収めたい。そこはね、パズルする気持ちで入れていきましょう。
ただ、あまりにギュンギュンだとイメージが悪くなります。適度な窮屈感に抑えて、80サイズにするときは気持ちよく「たくさん買ってくれてありがとう」と思って梱包しましょう。
100サイズ・120サイズも数枚ずつ常備しています(※クール便は120サイズが配送可能な最大サイズ)。そんなにたくさん量は出ませんが、たまーに出るので準備しておくと無難かなと。
普段仕入れ先で利用するのは「ダンボールワン」さん。「ロゴあり」と「ロゴなし」がありまして、価格がほんの少し異なります。
箱をシンプルにしている分、ここではロゴなしを選んでいます。数百円の違いなので大きいとも小さいともいえません。でもちょっとね、パンを開けたときにロゴがドーン!はカッコ悪いなとw
抑えるところ、残すところは厳選しましょう。
わたしは”ロゴなし・シンプル”を選びました。
枚数はある程度まとめて仕入れる方がお得になります。例えば60サイズは160枚で仕入れるため、保管場所が必要になります。
わたしの場合は工房裏のシャッター部分を棚にしているのでそこで保管をし、必要なタイミングで20枚ずつ移動。
すべてを工房保管は難しいので、ダンボールを仕入れる際は先に保管場所を確保してから注文するようにしてください。
無地の緩衝材

パンを固定する緩衝材は楽天で主に仕入れています。これね〜、英字新聞などもかっこいいのですが、どうしても水分が少しつくと汚れますよね。出来れば無地のものがおすすめです。
10kg単位で仕入れるため、枚数としては1500枚。1回購入するとしばらく持ちます。保管スペースはお中元とかでもらうオイルの箱くらいです。こちらは工房内に保管しておいた方が楽ですね。
使うときも上手に使いましょう。闇雲に入れるとすぐなくなります。
60サイズ、ノーマルな80サイズなら半分に切って一番下にまず敷く。パンを入れて、空いたスペースがあってパンが動きそうならそこにも入れる。
Amazonなんかでは「こんなにいる!?」な量の緩衝材が入っていたりしますが、ちいさなパン屋にはこういうものも貴重な資源。空いたスペースもその都度大きさが変わるので、少しずついい枚数&いい入れ方を抑えていってください。
”ケチくさくなりすぎない程度”に大きさを調整することをおすすめします。
梱包テープ

ダンボールを梱包するテープは透明推奨。さらに言えば静音タイプよりノーマル派。静音タイプは確かに音は静かなのですが、なんとなくちょっとだけ吸着力が弱いような……。
パンって実は重くてですね、80サイズも量によっては8kg近くになります。
だから吸着力は強い方がおすすめ。また梱包はまっすぐ1本だけではなく、サイドもしっかり留めるようにしましょう。
梱包テープに関してはネットでは購入せず、基本的にホームセンターでまとめ買いすることが多いです。5本で400円前後かな。そっちのが安い。
ダンボール、緩衝材、梱包テープはメルカリなどを利用するときにも使えます。ネットショップをはじめる前の練習にもなるので、今からネットショップを始めたい方はメルカリから挑戦してみるのはいかがでしょうか?

パン袋

パンを入れる袋「HEIKO」のものがおすすめ。他にもサイズがありますので、パンの大きさに合わせて3.4種類常備。
ネットで購入することもありますが、シモジマの店舗に出向いて購入した方が安いことが多々あります。店舗に出向くと一番使うサイズだと1000枚で1800円前後で買えます。
楽天でも8袋まで送料250円で割と安く買えますが、まとめ買いしても店舗のが安いことが多いですね。
模様などが付いているものもありますが、少し割高なので”こだわりポイント”にするかを決めておきましょう。袋は抑えてシールで楽しむ手もあります。
ジップ袋

ネットショップで冷凍発送する際はヤマトの規定により、-18℃以下で12時間以上冷却していることが条件。

パンをそのまま入れるとぐちゃぐちゃになるし、ニオイうつりなどもしたくない。なので冷凍保管するときはパンを袋に入れたら4個ずつジップ袋に入れて冷凍しています。
まとめてドンと入れたいならIKEAの一番大きいサイズが使いやすいですが、こちらワンサイズ販売ではないので余計なサイズが届きます。使い道がある場合はいいのですが、出来たら同じサイズで統一したほうが作業はしやすい。
なので基本はジップロックのフリーザーパック(Lサイズ)を使っています。
こちらAmazonのセールでときどきめちゃめちゃ安くなっているので、そのときを狙ってまとめ買い。さすがに使い捨てにはしませんが、定期的に新しいものに交換しています。
ショップではパンは4個で1セット。なので4個ずつ入れているわけですが、どれが誰のご注文か分かるようにマスキングテープで目印をつけています。ニオイ移りもせず、セットがバラけることもない。しかもミスが防げるなら、導入しても損はない一品。
ネットショップの配送ミスを防ぐ方法は以前記事にしています。

食器洗い用洗剤

食器洗い用洗剤も必ず使うものですよね。こちらはAmazonでまとめ買いしています。
香りなど好みがあるとは思いますが、個人的に好きな形状なのが「逆さボトル」。
これね、使いやすいです。ポンプに詰め替えるのも好きですが、逆さボトルのが汚れない気がします。香り等好みが分かれますので、こちらは参考まで。
排水溝ネット

消耗品ラストは排水溝ネット。主に薬局や100均で購入しています。
これ、超!がつく消耗品ですよね。しかもパン生地ってすぐ詰まっちゃうので、マジな使い捨て。1日2.3枚使うことも。でもあった方がいい消耗品。
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消耗品紹介は以上となります。他にもいろいろありますが、今回は特にパン屋がよく使う10個の消耗品をご紹介しました。
消耗品ってその名の通り「使い捨て」ですよね。
お客さんの手元には届かないけれど、ないと成立しないものでもあります。
スポンジがいい例ですが、少しお金を出した方が使いやすくて長持ちするものもあったり。しかもね、売り上げが多くなるにつれて使用頻度も増えるから消耗するんです。
つまり必要経費としてかかってしまう。ご自身の活動の量に合わせての仕入れを心がけてみてください。
今回のまとめ

今回は「パン屋に欠かせない消耗品を10個紹介します!」ということでざっとまとめてみました。
いろいろ渡り歩いてきたのですが、安いだけではダメ。機能があるからいいわけでもないと学びました。
個人的には消耗品は節度のある範囲で抑えて、お客さんの負担は減らしたいなと考えています。
考えはお店それぞれにはなりますが、「いや、ここは譲れない」みたいな部分があればそれは残してもいいと思っているので代わりにどこでバランスを取るかにかかっていますね。
参考になれば幸いです。