最近「もうすぐパン屋を開業します!」という方増えてきました。
報告してくださるのはとてもうれしいです。
そんな中質問をいただくことも増えてきました。
今後もわたしの答えられる範囲であれば疑問や「これやってますか?」な質問もお受けします。
シェアするといいなと思う内容は記事にしていきますので、ぜひネタくださいw
さて、今回も質問をいただきました。
まもなくパン屋をオープンされるとのこと。
食品ロス対策を兼ねて「配送での販売」を考えているそうです。
いくつか質問をいただいた中で共有したい内容がこちら。
- お客さんの支払い方法はどうしていますか?
- お店専用の銀行口座はつくった方がいいですか?
- 代引きでの配送の仕組みを知っていますか?
やってみてわかることもあれば、知っている人に聞いた方が早いこともあります。
今回はお役に立てそうだったので、記事にしました。
この記事で解消していきましょう。
どれだけ焼くか問題
「食品ロス」と聞くと近年ではSDGsというワードが思いつくでしょうか。
SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」のこと。※ユニセフHPからの引用
ひとつしかないこの地球で暮らし続けられる「持続可能な世界」を実現するために進むべき道を示した、つまり、ナビのようなもの。
これより先は社会問題についてになるため割愛しますが、要は「社会にやさしい暮らしをしようね」みたいな感じです。
SDGsで掲げている17の目標のうち、飲食店でも出来ることがあります。
- プラスチックごみを減らす
- 食品ロスを減らす
- はたらき方を考える などでしょうか。
今回はこの中の「食品ロス」のお話。
食品ロスは環境にとっても、お店のお財布事情的にも良くありません。
食品ロスを減らすには主に2つのアプローチがあるように思います。
- 売り切れる量を仕込むようにする
- 売れ残ったら別の方法で販売する
以前「イベント出店のメニュー」についてまとめました。
売り切れる量を仕込む部分についてはこちらをご参考ください。
ここでは”売れ残ったときの販売”について考えていきましょう。
まず大前提ですが、なるべく完売できるように仕込みましょう。
で、売れ残ったときも数により対処法が異なります。
店舗営業の場合、販売方法がかなり受け身になります。
ときには全然売れない日もあるでしょう。
その場合はセットを作って販売を試みます。
ただしあまりにも売れ残る日が連続するなら、仕込みを減らした方が良さそう。
たぶん身の丈に合わない量を焼いています。
お店にお客さんが来てくれる工夫が先決ですね。
宣伝や集客をいろいろ試していきましょう。
イベント出店の場合は一日外で販売をしていたことになります。
基本的には配送販売より、その日に消費する方がいいでしょう。というのも一日常温保管されていたものを冷凍庫で凍らせる。
……なんとなく美味しさは半減している気がするね。
衛生的にもよろしくありません。
わたし自身はイベント出店は「ちょっと控えめ」で焼いていました。
理由は「完売」というワードを重視していたから。
ただあまりに早く完売したときはちょっと後悔しますw
それもまたイベント出店の面白さだったりするけどね。
出店するたびに分析をしてみるとなんとなく数も掴めてきますよ。
次の項目からは「店舗で余った場合の配送について」を解説していきます。
どこで販売するのか
店舗で販売していて結構余ってしまった……というときは配送での販売を考えてみましょう。
この場合、いくつかポイントがあります。
この項目では「どこで販売するのか」を解説します。
配送での販売ということは、仕組みとしてはネットショップ。
ただ店舗をはじめてすぐネットショップは難しいですよね。
しばらくは店舗の営業に集中しているかと思います。
この場合、販売できそうな媒体としては以下のようなものがあります。
- SNS(Instagramや𝕏など)でお知らせする
- LINE公式アカウントでお知らせする
- ネットショップに出品する
それぞれ一長一短ありますので、まとめてみました。
拡散力があり、完売を期待するならSNS告知。
限定告知で販売できて、特別感があるのがLINE公式アカウント。
支払い方法が豊富で公平性を保てるのはネットショップ。
こんな感じでしょうか。
SNS告知と公式LINEは在庫管理が手動になるため、購入できなかった方のフォローが必要になります。
ネットショップに出品する場合はあらかじめショップを作っておく必要があります。
この面においてはかなり手間。
ただあとあとショップ運営を考えているなら、最初にこの配送販売のみではじめるのも練習になっていいかもしれません。
minneやCreemaで販売してもいいし、BASEやSTORESでもどちらでもいいです。
ただプラットホーム型は手数料が高いので、その面をどう考えるかはお店によりますね。
拡散力をほどほどに考えるなら、BASEやSTORESからはじめましょう(ただし立ち上げに時間と手間はかかります)。
販売の流れとしてはこんな感じ。
お客さんに個人情報を聞く手間と支払いまでのタイムラグがあるのが、個別でのやり取りの特徴です。
稀にですが、このやり取りの間に連絡が途絶えることがあります。
キャンセル連絡をくれるならまだいいのですが、いわゆる音信不通になることもあります。
あまりに時間が経ってしまうともう告知できないタイミングに。
そんなときは諦めて自家消費します。
こればかりはこちらでは何もできないのが現状です。
その点、ネットショップでは出品者に連絡がくるときには支払いまで完了していることが多いです。
手数料でそのあたりをカバーしてくれていると考えると気楽。
また在庫数も「完売」となれば購入できないのもわかりやすいですよね。
配送での販売を考える際は最初に「どこで販売するか」を考えてみてください。
支払いの方法はどうするのか
お次は「お客さんの支払いをどうするか」。
これもどこで販売しているかでアプローチが変わりますよね。
そもそもネットショップに出品する場合。すでに支払いのシステムができているので、支払い方法の心配は必要ありません。
問題は個人間で注文のやり取りをする場合。
- 銀行振込
- クレジットカード決済(オンライン決済)
- (店舗がある場合)PayPayオンライン決済
今回「代引き」について質問がありましたね。
代引きを利用する場合は「法人契約」というか、ヤマトだとビジネスメンバーズに登録する必要があります。
しかも代引きは送料に加えて手数料が発生。9999円までなら330円(1個あたり)。
ただでさえ冷凍で発送するとなるとクール料金もかかります。
スタートライン的にもハードルが高いものと思われます。
もしビジネスメンバーズで代引きを導入する場合は”月毎”に集計され、ヤマトとの契約で入金されることになります。
現実的に考えると「銀行振込」と「カード決済」の併用がベストでしょう。
それぞれ解説していきます。
銀行振込
ここでポイントになるのが「個人名義」か「お店名義」か。
これに関してはお客さんもあまり意識はしていないでしょう。
ただお金の管理の面でいうと「仕事用の口座」はあった方がわかりやすいです。
個人名義だとしても普段の生活で使っていない口座があればそれでもOK。
この場合、デビットカードも付帯しているとなおヨシ。
仕入れなどでカード払いができ、即時引落しのため帳簿も楽です。
ネット銀行だとビジネス利用を禁止されているところがあります。
楽天銀行なんかは規約に記載されるよね。
まぁ個人間のやり取りであればわからないかと思いますが、例えばネットショップの売上の入金がビジネス利用NGの口座だとしてバレたら……。
最悪口座が凍結されてしまいますので、規約は事前に確認しておきましょう。
もちろん「お店名義」の口座があれば一番わかりやすいですね。
PayPay銀行・楽天銀行・GMOあおぞら銀行は個人事業主向けに店舗名義の口座が作れます。
店舗名義の口座でもデビットカードが付帯しているので仕入れも含めてこちらで管理するのもいいでしょう。
それぞれのリンクを載せておきますね。
クレジットカード決済
配送での販売を考えている場合、クレジットカード決済は導入しておきましょう。
というのも現在、日本でもキャッシュレス化が進んでいます。
銀行振込だとポイントは使えませんが、クレジットカードはポイントが貯まりますよね。
また記録に残るため、家計簿代わりでカードを使う方も多い。
そのためできたらカード払いがいいという方も多いです。
わたしもカード派です。
店舗なしで導入できるのは
最近、SquareとAirペイではiPhoneが決済端末として使えるようになりました。
その機能は対面での販売で使えるもの。
配送での販売する場合、おそらくお客さんとオンラインでやり取りをしています。
そのときに使える機能が「オンライン決済」や「請求書決済」と呼ばれるもの。
Square・STORES決済はそれに対応していますが、実はAirペイは対応していません。なんとなんと。
なのでオンラインでお客さんとやり取りをするなら、Square・STORES決済を導入しましょう。
どっちがいいの?と言われたらSquareな気がしますが、STORES決済を使っていて特に不自由に感じたことはありません。
オンライン決済では集計した金額をこちらで処理し、決済URLを発行してお客さんに送ることになります。そのURLからお客さん自身に操作していただき、クレジットカード決済を行うのがオンライン決済です。
わたし自身、銀行振込とクレジットカード決済から選択してもらえるようにしていますが、8割方クレジットカード決済を選ばれます。
補足:PayPayのオンライン決済
もう1つ、PayPayのオンライン決済についても補足しておきます。
基本的にはPayPayの個人間送金は「ビジネス利用」はNGとなっています。
PayPayをお店で導入している場合は実店舗がある場合に限り、オンライン決済の手続きが可能。
PayPayに審査の申し込みをして、受理されれば利用できます。
お店を持たずにパン屋を運営される場合はPayPayのオンライン決済は使えませんので、ご了承ください。
配送業者を選定しておく
最後は配送業者についてまとめておきます。
先ほどお伝えしましたが「代引きは基本利用できない」と思っておきましょう。
発送については大きく分けて2パターンあります。
「発払い」か「着払い」か。
「発払い」は発送する側が費用を負担するもの。
お客さんに代金を請求する際に送料込みで金額を出した場合が当てはまります。
この場合めんどくさいのが「サイズが変わったらどうするか」。
重さで考えるのか、個数で考えるのか、はたまた60サイズ料金にするのか。
これはお店の考えで異なります。
個数で計算されて、たまたまスコーンなど小さいものが多かったとしましょう。
このとき金額と個数としては80サイズですが、小さいから中身は割とスペースがあります。
これ、なんとなくお客さん側がいい気はしないですよね。
計算も複雑になるので、わたしは60サイズ料金のみいただくようにしています。
「着払い」はお客さんが商品を受け取った際に送料を支払うもの。
この場合商品代金は別でやり取りをしています。
お客さんにとっては2度手間になるので、個人的には発払い派(ただし料金の変動には強い)。
ここで対策として「代引き」というワードが出てきますが、導入までのハードルの高さを考えると一旦ナシかと。
手数料もかかるし、そもそも導入が難しい。
「発払い」で「事前決済」がおすすめです。
あとはどこの配送業者にするのかですが、近くに営業所がある場合は近くを選びましょう。
ある程度継続して発送できるようになると、ビジネスメンバーズのお誘いがあるかもしれません。
淡々と数をこなしていき、お得に発送できるようにしましょう。
今回のまとめ
今回は「食品ロス対策の配送販売」について解説しました。
ポイントは4つ。
販売するパンの数を決めるとき悩むことがあります。
- 強気に攻めて、ロス覚悟で多めに焼き上げる
- 「完売」というワードを押し出すために、少なめにする
理想なのは「ほどよく焼いていいタイミングで完売する」ですよね。
しかしこれがなかなか難しい。
特に飲食は季節にも左右されます。
余ったから販売しちゃおう!もいいことなのですが、なんとなく言葉から余りもの感が出てしまいます。
物は言いよう。上手に告知しながら食品ロスを最大限抑えていきましょう。
まずは楽しくパンを焼く。
パンからウキウキ感が出ていたらこっちのものです。
ぜひ楽しんで焼いてくださいね~。